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チベットを憂う

遅ればせながら、チベットの争乱について、先月末に書いた文章を添付します。

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「チベットを憂う」

チベットでデモ隊と中国軍との衝突が起き、多くの人々の血が流された。中国の併合統治政策に不満を持つチベット人民が北京オリンピックを前にデモを起こし、人民軍と衝突したのが原因である。そのデモ隊の中にはチベット仏教の僧侶もたくさんいただけに、同じ仏教者として、心が痛い思いでこのニュースを聞いた。ことの次第を中国政府はなかなかつまびらかにはせず、未だに本当の所は公表されていないが、国家権力と民衆の間で殺戮が行われたことは間違いない。しかしこの事件に対して、日本政府も、そして各仏教教団ももっと声を大にして、中国政府の暴走を糾弾しないといけないのに、その動きは緩慢で、もどかしさを感じているのは私一人ではあるまい。

一昨年、盟友でチベット仏教の研究者である正木晃先生とともにチベットを訪ねた。今回の事件が起こったラサには3日ばかり滞在したし、ラサからもう少し奥に入ったギャンツェやシガツェなど、チベット仏教の聖地を中心に一週間ばかり各地を廻らせていただいたのであった。それだけに今回の事件は生々しく受け取っている。

そのときしたためた紀行記にも書いているが、丁度私が訪問したのは青海省の省都・西寧とチベット自治区・区都ラサを結ぶ青海チベット鉄道が開通する直前であった。あの時期でさえ、チベット国内には怒濤のように漢民族の人たちが流入し、元々かの地に住んでいたチベット人たちの生活を脅かしていたのを目の当たりにしたが、鉄道の開通でその速度がいよいよ増したことは想像に難くない。

一昨年の段階でこういう事態に至ることは、紀行文の中でも私は密かに予測している。その危惧が実際となったのだ。

昨年の伊勢神宮フォーラムでチベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王にも謁見したが、平和的解決を訴えるダライ・ラマ法王は今回の事態を誰よりも憂慮しておられるようである。CIAからの資金提供や、日本ではオウム真理教や阿含宗、念佛宗無量寿寺とのいささかいかがわしい関係など法王の行状にはいろいろな意見もあるが、1959年の亡命以来、中国政府との長い戦いを過ぎ越してこられたそのタフネスぶりは余人の届かざるところであろう。大中国に立ち向かう一仏教者のすごみを謁見の中で感じたが、平和的解決に向けての法王の行動を期待したい。

いづれにしても、二十一世紀を迎えた今、前近代的な暴虐に対しては世界的に許されざる事態であるし、大きな声を挙げて糾弾しなければならないだろう。私もいくつかの団体を通して、中国政府や日本政府に早期解決に向けた請願書などを送ったが、大きな不幸を招く前に、ともかく平和的な話し合い、解決の道を求めてやまないものである。 それが中国にとっても中国国民にとってもけっして悪いことではないはずだと思っている。

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ミクシイつながりで何人かのマイミクさんも紹介しておられますが、上記文章に書いているようにいくつかの請願書などを中国政府や日本政府に送りました。もし賛同いただける方は、是非、以下のところの公開書簡に署名いただけませんか?私も呼びかけ人として名前を連ねさせていただいています。

http://www.tibetsupport.net/

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