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明日から自坊に帰山します。
それで今日が私の御用納め?かな。
実は執行長就任以来、9年間、執行長の席に座っていなかったのですが、来年で10年になりますので、思い切ってその席に座ることにしました。
で、今日はその席のお引っ越す。っていってもとなりの席なのですが、まあ、いろんな書類が次から次へと。これでは到底今日一日で終わりそうにないので、机の中はそのままにして、机の上だけともかく片付けました。
新制、って感じで、来年の吉野生活を始めたいと思っています。・・・来年は少し仕事量も減らして、じっくりまったり生きたいと思います。
中外日報社から「日本仏教の危機について」ということで、依頼された論壇の記事。日記に書いたように誤植があり、新聞記事はそのままよむと肝心のところでずっこけるのですが、元原稿を貼ります。何人かの方にはお送りしました。でも体裁は新聞掲載記事の方がよいですね。
表題テーマ
「日本仏教の危機~僧侶がみずから祈りを取りもどすこと」
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1)葬式仏教の危機じゃないの?
友人から「日本仏教って危機なの?」と聞かれた。
「そりゃあそうでしょう。日本仏教って危機的じゃないの。ここ数年、お寺を取り巻く状況は悪化の一途をたどっているよ。たとえば、『おくりびと』って映画には僧侶は出てこなかった。葬送の場に僧侶が不在だった。『千の風になって』が流行ったけど、お坊さんまで「私のお墓の前で泣かないでください~♪」と歌う。島田裕巳氏の『葬式は、要らない』って本もよく売れた。それから、イオングループが葬祭業に参入し、死者を弔う心も一種の経済行為としての見方に拍車をかけた。
読経や葬送儀礼のない直葬や無宗教葬は、どんどんと広がっている。檀家離れや無縁社会が現出し、肝心のお寺自身も後継者不足が問題になっていて、日本仏教は間違いなく危機に瀕しているんじゃないの」
私はそう答えた。
だが、友人は反論する。
「でもそれって、葬式仏教の危機であって、それが日本仏教の危機ということにはならないんじゃないのかなあ……。
だってさ。仏教そのものは、一般の人の間では、関心は高まってるよ。仏教書はよく売れている。上座部仏教系の気づきの瞑想の本とか、ダライ・ラマ法王をはじめチベット仏教系の本は、書店で平積みになっている。
ここ数年の仏像ブームはすごいよね。奈良・平城遷都1300年祭がらみでは、寺院を訪れる人はすごく増えたんじゃないの。君の寺だって、昨秋に12万人が押し寄せたんでしょ。だから、どこが日本仏教の危機なのよ」
──なるほどなあ、そう言われたら、そうかなあとも思う。
でもやはり、日本仏教は危機を迎えているように思えてならない。
2)多くの寺院は葬祭仏教を基盤にしている
10年ほど前だが、私がまだ全日本仏教青年会の副理事長だったときに、「葬式仏教をぶっとばせ!」というテーマで全国大会を京都で行ったことがある。
そのときの大会記録を『葬式仏教は死なない』(白馬社刊)として出版した。その中で全国の寺院にアンケート調査を行い、調査報告を掲載した。全調査の8割以上が、葬儀や年忌法事、墓地管理など葬祭関連によるお布施収入に頼っていた。やはり今の日本の多くのお寺の実態は、葬祭と法事で経済基盤を成り立たせているのである。
葬祭仏教の危機は日本仏教の危機に直結している……。寺の内側から見て、正直にそう感じたし、今もそれは変わらない。
ところで、私は実は葬儀をしない僧侶である。寺はあるが檀家はない。信者さまを相手に、加持祈祷を専職にしている祈願寺院である。もちろん葬式ができないわけではなく、頼まれればしないこともないし、法事や年忌のお勤めもさせていただくこともあるが、それが主たる法務ではない。
だから檀家制度の崩壊と、葬祭仏教の衰微は、逆に我々にとって大きなチャンスなのだ……って言える立場にいるのかもしれない。
が、ことは、そんな簡単なことではない。
3)その時代に生きた僧侶たちが血の滲むような努力をつづけてきたからこそ
6世紀中頃、日本に仏教が公伝して以来、仏教は国家的な規模による繁栄とともに、幾多の危機も迎えている。
豊臣秀吉の時代、刀狩りが行われ、寺院にあった僧兵達は武装解除して寺は武力を失う。武力を持った寺院が日本の仏教にとってよいことだったかどうかは別だが、それ以来、政治に対して発言力を失ったことは間違いない。
江戸時代の寺請制度・檀家制度は、寺院の経済基盤を安定させたが、しかし布教の自由はなく、葬祭仏教となって、いきいきとした活力は奪われてしまった。
明治の「神仏分離・廃仏毀釈」による打撃も日本仏教の形を大いに変容させた。
そして大東亜戦争の敗戦による農地解放は、寺院の経営基盤であった田畑などを大いに失い、これによって葬祭儀礼に収入を依存する体質や実子相続などの形が一般化した。
戦後は新興宗教が活発に起こった。また都市化による核家族化が進み、檀家離れに拍車をかけた。
しかしながら、大きな節目ごとに、その時代に生きた僧侶たちが血の滲むような努力をつづけたからこそ、現代にまで、曲がりなりにも日本仏教の法灯は守られてきたのだと思う。
それはまた僧侶だけの努力ではなく、日本人全体が先祖供養や現世利益などの祈りを通して、やはり日本仏教を心のよりどころとして求め、存続させてきたのだと思う。
4)本当の日本仏教の危機とは
人の生き死には人生最大の問題である。そこに宗教が必要とされるのは世の東西を問わず、そして長い人類の歴史を通じて変わらないことだったはずである。
けれども、いまやその厳粛な場に僧侶が必要とされない社会となってきているのだ。
それがもし本当なら、人生の厳粛なる節に、祈願などの場さえも生まれない。そしてそれは、祈りを喪失させた社会をも生むことになるであろう。
先祖供養や死者儀礼は現世利益と表裏一体でやってきたのが日本仏教だった、と私は思っている。
そこにこそ、祈りがあったのだ。
人々の心に祈りの心があり、僧侶の祈りが必要とされてきたのである。
映画『おくりびと』で僧侶がいなかったことも、「私のお墓の前で泣かないで下さい~♪」と歌う心も、『葬式は、要らない』のベストセラーも、イオングループのビジネスモデルも、どこか、僧侶自身の祈りの喪失とつながっているような気がする。
社会ぜんたいで祈りの喪失という現象は、今後ますます拍車をかけるにちがいない。
実はそこが今の日本仏教の危機たる本当の所以なのではないだろうか。──そう私は思っている。
5)まず僧侶自身が祈りを取り戻さなければならない
まず、僧侶自身が祈りを取り戻さなければならない。
仏に祈りもしない僧侶が死者儀礼や加持祈祷などに携われるはずがない。世間の人たちが祈りを忘れているのは、しっかりと祈る僧侶がいないからなのではないだろうか。
その現れをもっとも顕著に感じるのが葬儀の場だ。祈りの心を伝えられない僧侶が増えている。たんなる儀式の執行者になっていないだろうか。
人の生き死にの場で、祈りを期待されないような僧侶では意味がない。葬祭の場こそ、僧侶がみずから祈りの心をお伝えする機会なのだと思う。
あるいは、仏像は見るものではない。拝むものであり、祈りの対象である。そこにも僧侶が祈りの体現者として登場していなくてはならない。
博物館の管理人のようなことではダメなのは言うまでもない。祈りのない、拝む心のない仏像ブームは仏教の自滅であるとさえ、僧侶は思わなくてはならないだろう。
祈りを取り戻すこと、私はそれをなにより大切にしていきたいと思っている。
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ちなみに中外日報社のHPにも載っています。誤植は訂正されています。
http://www.chugainippoh.co.jp/NEWWEB/n-interviews/rondan/2010rondan/101223rondan.html
中外日報の依頼で書いた文章が12月23日号に掲載をされた。
・・・と、ところがぁ、大誤植で載せられている。
文中の小見出しが、一カ所だけ本文として載せられている。他の小見出しはちゃんと整理されているのに、誠に残念である。なので、文章の意も通っているようで通っていないし、同じ文章があとから出てくるから、なおおかしなことになっている。
まあ、ねえ・・・。残念としかいいようがないけど、しかたないですね。結構渾身の一作だったんですが。
マイミクさんに、ちょこっと文章の直しのお手伝いをしてもらったバチがあたったのかなあ・・・。
追伸 希望の方は送り先をメールしていただければpdfで送りますよ。
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今日の名言
雨は吉野山人だけに降り注ぐわけではない
吉野山人
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[m:83]私に名言 for mixi[m:83]
http://mixi.jp/view_appli.pl?id=5328
※モバイルアプリにも対応!
○雪も吉野山人だけに降り注ぐわけではない
メリークリスマス!
師走です。またまた走り回る日々ですね。
今日は大阪で編集。夜は来年以降の戦略会議。明日も大阪で慰労会など2件。23日は吉野ですが、24日は自坊。25日が大阪で編集、夜は本山の忘年会…今年はいろいろ大変だったので、盛り上がることでしょう・・・。
26,27日は吉野で、28日から自坊。お正月準備です。
その間に大掃除と、事務所のデスクの大移動。10年ぶりに席を替えます。いろいろあって、今年もばたばたしながら、一年を終えようとしています。
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今日の名言
自分自身を幸福だと思わない吉野山人は、決して幸福になれない。
吉野山人
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私に名言 for mixi
http://
※モバイルアプリにも対応!
○もちろん、思っていますとも!!!
今日は京都南座の顔見世興行の歌舞伎に行ってきました。
最近松竹の方とご縁が出来て、チケットを沢山おくっていただきました。手分けして寺内でいける日に行かせて頂いて、家内は夜の部に生きたかったらしいのですが、日程的に今日の昼しかいけないので、無理して行きました。
昨日は(今日行くために )明け方まで原稿書きをしていたので、予想通り、途中で爆睡をしましたが、結構それでも楽しませていただきました。
最後の演目を見ていると遅くなるので、早めに切り上げて、夕方には自坊にもどりましたが、楽しんでくれていました。
でもあの狭いイスで4時間以上座って観覧するのは疲れますね。
9月に市川海老蔵の義経千本桜にもご招待いただいたのですが、今回は例の事件で海老ちゃんはなし。目力があった役者だけに、やはり少し淋しい顔見世興行だったかも知れませんが、愛之助さんも頑張っていて、活気はありましたね。
有り難いご招待の一日でした。願わくばもう少し近くて、出入りのしやすい席だったらよかったかも。いい席だと、途中で帰れないですが。。
なんでカキコが少ないかというと、実は16日に吉野を出るときにノートパソコンの充電器を忘れてきたので、怖くて、なかなかパソコンが使えません。
最低限の仕事は残った電源でこなさないといけないしね。
で、スマートフォンでブログやミクシイはあそんでいますが、これがなかなか不自由。で、古いノートPCを出して、やっていますが、またこれが非常に遅くて、イライラするしねえ。遅いから買い換えたわけでね。
そんなわけでなかなか思うように、カキコが出来ない山人さんでした。
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今日の名言
吉野山人は、運命を避けようとしてとった道で、しばしば運命にであう。
吉野山人
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[m:83]私に名言 for mixi[m:83]
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※モバイルアプリにも対応!
○避けられるものなら避けたいってこともあるんですが・・・。でも受け入れていますよ。仕方がないもの。
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今日の名言
吉野山人の道を進め、人には勝手なことを言わせておけ。
吉野山人
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[m:83]私に名言 for mixi[m:83]
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○あのー、言われ放題なんですけど (>_<)
トレイルランナー鏑木毅さんと明日対談する。
奈良県が吉野地域の魅力発信のひとつとして、鏑木さんを吉野に呼んでくるのんだそうで、私が明日蔵王堂などを案内して、今、高野山と取り組んでいる吉野ー高野の道プロジェクトなどを話題に、対談させていただくこととなった。
対談の一部は、開設を予定している吉野ー高野の道プロジェクトの公式HP(「(仮称)弘法大師が聖地を求めた道」)で公開されるほか、県の事業として「関東版じゃらん3/1発売号2P」「東海版じゃらん3/1発売号2P」などに掲載される予定らしい・・・。
ともかく明日朝から、記事の取材と鏑木さんの対談が予定されている。
なにしろトレイルランナーとしては世界最高峰のひとりである鏑木さんと、へなちょこ山伏の私との対談は、なんかめちゃ重荷に思うのだけど・・・さてさて。。
昨日は久しぶりに怒濤の一日だった。
朝イチで蔵王権現供養法一座を修法。
終わって、朝礼のあと、9時からはNHKBS・白洲正子生誕100周年記念番組の取材があり、打ち合わせのあと、収録。10時10分、近鉄企画部の新任課長の来山応対。10時50分、本尊供法要出仕。
終わって役員会資料つくりのあと、1時半から役員会。
4時から白洲さんの番組の2度目の収録。番組のレポーター・ギタリストの村治佳織さんと対談。写真でみたとおりの綺麗で賢い人でした。5時夕座勤行収録。蔵王堂閉門が堂内で村治さんとの追加収録。なお番組は来年3月末に放送予定となっています。
7時からお世話になった元東南院支配人のU氏通夜出仕。終わって12時近くまで追悼のひととき。思い出話が尽きない夜でしたが、長い一日となりました。
そのNHKBS・白洲正子生誕100周年記念展覧会関連番組ですが、昨年、白洲次郎物語をNHKの番組を見て、すっかり白洲ファンになった私は、その奥さんである正子さんにも興味を持ち、今年のなって、夫妻の孫に当たる白洲信哉さんと交友ができたせいもあって、信哉さんプロジュースの展覧会には出来るだけの協力をしようということで、今回、破格の取材便宜を計りました。
村治さんも素晴らしかったし、どんな映像が番組の中で流れるか、とても楽しみです。なお番組は来年3月末に放送予定となっています。
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今日の名言
「今が最悪の状態」と言える吉野山人は、まだ最悪の状態ではない。
吉野山人
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[m:83]私に名言 for mixi[m:83]
http://mixi.jp/view_appli.pl?id=5328
※モバイルアプリにも対応!
○いつも最悪の時だと思って、最善の努力をしてまーす。
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