
「シノラーと、せんとくんと、くまぶしくん」
このブログでも何度も書いてきたが、私はどうしても、奈良のゆるキャラ「せんとくん」にはなじめない。なじめない…というより、どちらかといえば、合わないっていう感じである。
そのせんとくんの制作者が東京芸大の籔内佐斗司先生である。せんとくんの悪口を書くにつけ、きっと、いずれどこかで、先生に出会うのだろうと思っていたのだが、そのときは、困るだろうなあという気持ちでいた。
私が許せないのは、奈良のゆるキャラとしてのせんとくんであって、決して、籔内先生にどうこうというわけではない。先生は先生の芸術性で制作をなさっているので、そのことに私がとやかく言う立場にはない。先生は以前から、童子の顔に角を着けるというような、せんとくんの原形のような作品を世の中に出しておられるのも、知っていたし、それは先生の芸術であるのであって、私の趣味とは関係がない。芸術とはそういうものだと私は思っている。
ただ奈良県が奈良県をあげて、仏様の顔にトナカイの角を生やすようなキャラクターを採用することに、仏教者として、違和感を隠せなかったのは事実である。それは今でも変わらない。
せんとくんはご存じのように、平城遷都1300年祭のオフィシャルキャラクターとして、採用され、きもかわいい…という当節の流行によって、全国区となった。制作発表当時は随分賛否があったが、そのうち、なんとなく定着とした感がある。
遷都祭当時の担当者に、「田中さんがせんとくんの悪口をブログに書いてくれるので、せんとくんは人気が出ました…」って真顔で言われたことさえある。悪いジョークだと思った…。
さて、その籔内先生にとうとう出会ってしまったのである。
金峯山寺蔵王堂の秘仏本尊金剛蔵王権現様の、今期の特別ご開帳が始まった初日、3月30日にNHKEテレの番組、趣味Do楽「籔内佐斗司流 仏像拝観手引 日本列島巡礼編」の取材で来山されたのだ。
取材依頼があったときから、どんな顔して挨拶しようか…って、ホントに困っていた。
ところが、である。
アシスタントで同伴されたのが、私がかねてよりのファンだったシノラーこと、篠原ともえさんで、彼女が持つウルトラリラックスな感じが、とても和みのある先生との出会いにしてくれたのであった。
先生も彼女の持つ和みにすっかり魅了されておられるようで(番組は2シリーズ目に入っている)、そんな和みの空気を無理に壊すような、せんとくんの話題も出すことなく、取材のご挨拶は無事に終わったのである。
おまけに、初入荷以来売り切れになっていた山伏キャラのテディベア「くまぶしくん」がたまたまその日に100個届いていたので、シノラーにプレゼント出来たのであった。彼女はとても気に入ってくれて、自分のカバンにつけてくれているらしい(私は以前からツイッターで彼女をツイートしていたが、この取材をきっかけに彼女も私をツイートしてくれて、彼女のツイッターにもくまぶしくんを紹介されている)。彼女はほんとに素敵である。
実は籔内先生には最初差し上げなかったのだが、先生も欲しいと言っておられたと取材担当の者から聞いて、慌てて持って行くと、大変喜んでいただいた。
まあ、熊に山伏を着せて、キャラを作ることくらいはあまり気にはしない私なので(くまぶしくんは奈良日航ホテルとのコラボで制作したが、名付け親は私である)、せんとくんのことも、そうとやかく言わなくてもいいようなものだとは思ったが、篠原ともえさんのお蔭で、なんとも籔内先生との出会いが、不可思議なものとなったのである。シノラーのお陰様である。
シノラーのお蔭が大きいが、先生はよい人だよ、って以前から聞いていたので、会ってみて、確かにとてもいい方だとわかった。
その後先生からは、著作本やNHKの番組のテキスト本などを送っていただいた。なんか、恐縮する以外にはないこととなってしまったが、だからといって、私はせんとくんは今でもなじめないのは変わらないことだけ、書いておきたい。
金峯山寺が取材を受けたNHKの番組は「籔内佐斗司流 仏像拝観手引 日本列島巡礼編」の第6回放送分「山岳のほとけさま~修験道と神仏習合~」(5月 7日・午後9時30分~55分)である。是非ご覧いただければと思う。
番組サイト http://www.nhk.or.jp/kurashi/doraku-tue/
ちなみに私は番組には出ていませんので・・・。

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