山人の自薦書籍⑭:週刊仏教新発見第6号「金峯山寺編」
シリーズ「山人の自薦書籍⑭」・・・いろんなお陰様で、私は自著以外でもたくさんの関連書籍を出していただいています。
今日は第14弾。
週刊仏教新発見第6号「金峯山寺編」 出版社: 朝日新聞社 (2007)
週刊ウイクリーブックとして2007年に刊行されたシリーズの第6号。全30号シリーズの、6号目で、たくさんある名刹寺院を差し置いて金峯山寺が出たことは、なかなか衝撃的でした。
「山中を駆け巡る奥駈行こそ、修験道の核心である」と題した私の一文が写真入りで4ページ載っています。
さすがに6年前のものなので、Amazonで新品はありません。金峯山寺でも昨秋まで販売していたのですが、今は在庫切れで、今後も増刷の予定はありません。
以下、拙文の冒頭部分を転載する・・・
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「懺悔懺悔、六根清浄」の声が、大峯の山々、谷々をこだまして響きわたる。これこそ、山伏たちが大峯奥駈修行でおこなう掛け念仏だ。「やりたかったんだよな、これ」ってつぶやいた女性参加者がいた。現代の大峯奥駈修行は専門の山伏も一般参加者も一緒になって行じる集団修行。プロもアマも一緒に修行するという在家主義の修験道信仰を代表する修行なのである。
時期は大峯山山上ヶ岳が開いている五月から九月。主要な修験寺院主催の奥駈行は概ね夏場に行じられる。
大峯奥駈には昔から順峯修行と逆峯修行の二通りの行じ方があり、熊野から吉野に向かって行じるのが順の峯、吉野から熊野に向かうのが逆の峯とされる。奥駈修行を開いた修験道の開祖役行者は最初熊野から入り大峯山脈を縦走して吉野に至ったと言い伝えられており、その伝承によって熊野から入るのを順の峯と呼ぶ。その大峯山中には七十五の靡(なびき)と呼ばれる行所・拝所が点在し、それらひとつひとつに祈りを捧げながら行じるのが奥駈修行。靡とは、役行者の法力(神通力=超能力)に、草木も靡いたというところから名付けられたとされ、修験道に由来する神や仏の居所や、役行者以来続く峯中の霊蹟・行場を指している。
大峯奥駈修行の行程
金峯山寺の奥駈修行は逆峯修行を行じている。逆峯修行は本来、吉野川で垢離取り(川の中に入り身を清める)をする六田・柳の渡しから始まるが、金峯山寺は吉野山蔵王堂を基点に熊野へと向かう。
まだ夜も明けやらぬ午前四時。蔵王堂に整列した奥駈修行者一行は本尊蔵王権現への勤行を捧げ、道中安全無事満行を祈念して、第一日目が始まる。ブォ~ブォ~と出立を告げる法螺の音が漆黒の夜空に鳴りわたると、俄然、参加者の気持ちは引き締まる。目指すは大峯山山上ヶ岳。約二四キロの行程を十一時間で歩くのである。その間、吉野山内の勝手神社、水分神社、金峯神社など各社を巡拝し、大天井ヶ岳の横駆けを通り、鐘掛け岩・西の覗きの表行場を行じて、午後三時過ぎ、山上ヶ岳山頂の大峯山寺(元金峯山寺山上本堂)に入堂、ようやく初日の行程が終わる。山上ヶ岳は役行者が千日の苦行の末、修験道独特の御本尊金剛蔵王権現を感得(祈り出した)した修験道の聖地。修験道発祥の聖地中の聖地である・・・
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