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7月は東京で3回の講座

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7月は東京で三回講座に出向します。

①講座「伊勢 日本人の宗教観」
 久しぶりの朝日カルチャーセンター新宿教室での講座出演です。
内容:
古来より日本人の信仰の対象となり、「お伊勢さん」として愛されてきた伊勢神宮。2013年には20年に一度の式年遷宮が行われます。これを記念して、伊勢神道の真髄に迫るシンポジウムを開催します。
国内外の聖地を長年にわたり調査研究してきた植島氏をコーディネーターに、古からの神道の霊場である熊野三山から九鬼氏、日本古来の山岳信仰に神道や仏教などが混合した
吉野の修験道から田中氏、神道の研究者として伊勢神宮に造詣の深い櫻井氏をお招きし、日本の宗教において伊勢神宮とは何かを考えます
日時:7/20(土曜)16:00-18:00
場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
詳しくは以下↓
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=208911&userflg=0

②吉野のさくら保全プロジェクト・朗読劇「額田王と吉野」

日時:7月27日(土) 13:00~16:00
場所:東京都有楽町のよみうりホールにて。

第1部 講演
「吉野山の桜の歴史と信仰」田中利典(金峯山寺執行長)
「吉野万葉」上野誠(奈良大学教授)
第2部 朗読劇
「額田王と吉野 古に恋ふる鳥」
     原作=『額田王と吉野 古に恋ふる鳥』(上野誠著/書肆アルス刊)
     出演=松坂慶子(女優)
     対談=田中利典・上野誠・松坂慶子・北岡篤(吉野町長)
・・・ということで、私もお手伝いをすることになっています。
詳細・申し込みは以下を参照
http://www.mahoroba-kan.jp/nara-relation_details14.html
 
なお、申込期日:6月27日(木)消印有効

③東京自由大学講座:山伏と修験道第2回 「吉野修験と大峯奥駈道」+映像
 講師:田中利典
 コーディネーター・司会:鎌田東二
日時:7月28日(日)
場所:角川
会場:角川第2本社ビル(角川学芸)

*東京自由大学は、どなたでもいつからでも参加できる開かれた学びの場です・・・ということです。

まあ、お暇な方は顔でも見に、来て下さい。

「元気です!」

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雨上がりの蔵王堂。昨日から降り続いた大雨も、ようやく降り飽きて、おだやかな時間が流れています。

昨日、雨の中を出立した奥駈修行者一行も全員無事に昨日の行程を終えたようです。今日の行程、弥山への抖數は、おだやかな天気の下を行じていることでしょう。

雨上がりの空を眺めながら、ふと、名曲を口ずさんでいました。

「わずかにのぞいた 雨上りの空を見て 笑顔を作って"どうですか?と 問いかける♪」
・・・・ここ一年半、ずっと気に入っている歌っている 好き歌「元気です」 です。

よろしければどうぞ。

http://www.youtube.com/watch?v=IzMB7LzPV_U

誰もこっちを向いてはくれません

一年目の春 立ち尽くす私

道行く人々は 日々を追いかけ

今日一日でも 確かであれと願う

わずかにのぞいた 雨上りの空を見て

笑顔を作って"どうですか?と 問いかける

色んな事があり 愛さえ見失う

それでも 誰かと触れあえば

そうだ 元気ですよと 答えよう



自由でありたい心のままがいい

四年目の冬 寒さを拒むまい

どれだけ歩いたか 考えるよりも

しるべ無き明日に 向かって進みたい

あなたの人生が いくつもの旅を経て

帰る日くれば 笑って迎えたい

私も今また 船出の時です

言葉を選んで 渡すより

そうだ元気ですよと答えよう

     by吉田拓郎 「元気です」

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「どれだけ歩いたか 考えるよりも しるべ無き明日に 向かって進みたい♪」ってフレーズは泣きますねえ。

今夜は「裏窓」

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今夜は浅川マキの「裏窓」を聞いています。
敬愛する寺山の作詞です。

浅川も凄いけど、天才はやっぱ、凄いです。凡才はやっぱり哀しいなあ・・・。
ほんと、この歌は凄い。修験道の心って、ここなんだと私はね、思うわけでね。
まあ、ちょっと普通の論理を飛んでいるので、万人に理解はしてもらえない
かもしれないけど、・・・という、吉野山人さん的勝手な話です。

ともかくどうぞ・・・。

http://www.youtube.com/watch?v=Jhxz6KAaOzs

「裏窓」

裏窓からは 夕陽が見える
洗濯干場の梯子が見える
裏窓からは
より添っている ふたりが見える

裏窓からは 川が見える
暗いはしけの音が聞こえる
裏窓からは
ときどきひとの別れが見える

裏窓からは あしたが見える
三年前はまだ若かった
裏窓からは
しあわせそうな ふたりが見える

だけど 夜風がバタン
扉を閉じるよ バタン
また開くよ バタン
もうまぼろしは 消えていた

裏窓からは 川が見える
あかりを消せば未練も消える
裏窓からは
別れたあとの 女が見える

   (【youtube】裏窓/寺山修司・詩)

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写真はなぜか、若き日の大原麗子です。

祝!富士山世界遺産登録

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パソコンをゆっくり触れなくて、遅くなりましたが、富士山の世界遺産登録、おめでたいです。
見事に三保の松原の復活登録、素晴らしいです。
関係者の努力に経緯を表します。

少し文章を書きました。読んで下さい。
...
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ユネスコの世界文化遺産への登録を目指していた『富士山』は昨日無事カンボジアのプノンペンで開かれていた世界遺産委員会で登録が決定した。そうICOMOSの勧告で、登録を外されつつあった三保の松原も見事復活登録された。実はなんども書いているが、私は過去数度にわたって富士山の世界遺産登録へのお手伝いとなる講演会やシンポジウムに出していただいた。それだけに今回のニュースは同慶の至りである。

最初に関わったのは5年前に静岡県で開催された富士山世界遺産登録推進の国際シンポジウムだった。紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録活動で知り合ったICOMOSのI先生に請われて、日本代表のパネリストとしてスピーチしたのだった。内容の一部を以下、紹介する。

「吉野大峯地域はここ二十年くらいで環境が急速に壊れてきた。世界遺産は自然と文化を保護・保全するもの。吉野地域は世界遺産になりえる価値があると思ったし、もしならなくても登録活動を通じて、環境保全が良い方向に向かえばいいと思い活動を始めた。 日本の多くの世界遺産は保全する主体者がいないが、ぜひ富士山は、浅間神社の関係者や地元の人、役所の人たちがICOMOSのいうカストーディアン(第1の門番)となってほしい。世界遺産の登録はゴールではなく、保護・保全のスタートと位置づけ、明治以前の日本人が持っていた霊性、感覚を取り戻す、霊山富士の復興に繋がるような活動にしてほしい」…といった内容である。

先月5月にも富士宮市の浅間大社での講演会に招請された。そこで語ったのは、「霊山としての富士山の世界遺産登録でなくては意味がない。世界遺産登録が実現したことで観光開発ばかりが進んでしまって、富士山におわします浅間の神様がお嘆きになるような事態に陥ってはならない…」と繰り返しお話しをしてきた。

昨年金峯山寺で富士登拝修行を行ったのも、そういった霊山富士、信仰の山富士の復興を願ってのことだった。明治の修験道廃止という法難を乗り越えて修験道の法統を守り続けてきた吉野修験だからこそ、富士山の信仰の山復興に力を果たせるお役目があるのだと思っている。今年も八月末に富士登拝を計画しているが、ただ口でいうばかりではなく、身を以て行じていきたい。そう願っている。富士山世界遺産登録の年だからこそ、われわれ修験者の登拝を富士の諸神は待っておられるにちがいないと確信する。

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今年の私達の富士山登拝修行は八月三十日~九月 一日を予定しています。
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絵本「蛙飛び」出来ました!!

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絵本「蔵王さまと行者さま」に引き続き、絵本「蛙飛び」が上梓となりました。

金峯山寺では明日19日から蔵王堂と事務所で販売をはじめています。

http://www.amazon.co.jp/%E8%9B%99%E9%A3%9B%E3%81%B3-%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%B1%E5%87%BA%E7%89%88/dp/490384109X/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1371547899&sr=1-1

前回同様、松田大児さんの柔らかで楽しい作画で話を作りました。7月7日に行っている金峯山寺の伝統行事「蓮華会・蛙飛び行事」の絵本化です。コミニケ出版さんにお世話になりました。

今回も私があとがきを書かせていただきました。
以下、転記します。

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あとがき

ばあーんばぁーんとドラが打ち鳴らされると、その音に合わせて、ピョンピョンと飛び跳ねる大青蛙。毎年夏に行われる金峯山寺の伝統行事、奇祭「蓮華会蛙飛び」です。

ある雑誌の対談で、イラストレーターのみうらじゅんさんと対談したことがあります。その時、みうらさんは対談の内容はそっちのけで、蛙飛び行事の話ばかりをされていたことがありました。「ともかくあの祭りはものすごく面白い」と、大賛辞を浴びたのでした。

確かに面白いです。大青蛙の着ぐるみが出てくるような宗教行事は希有のものだし、動きそのものもとってもユーモラスなのです。

「蛙飛び行事」を執り行う側として、長年出仕をしていると気づかないものですが、外側から見るとしたら、あんなに面白い行事はないのかもしれません。…みうらさんとお話しながらそんなことを思っていました。

その頃から、この蛙飛びが絵本か童話にならないかと漫然と思っていました。そして、このたび念願が叶い、絵本「かえるとび」をお届けすることになりました。

きっかけは、前作の絵本「蔵王さまと行者さま」の制作でした。前作と本作両方に携わっていただいたコミュニケ出版下井謙政さんと、作画の松田大児氏さんとの出会いがなければ、本書が世に出ることはなかったでしょう。金峯山寺絵本シリーズの第二弾が「かえるとび」なのです。出来れば第三、第四弾と続けたいと、厚かましくも思っています。

「親の因果が子に報い…」というのは仏教の教えではありません。仏教では「自分の業因で自分の結果が出る」と教えます。

大きな悪業を重ねた罪は自分で負わなければならないのです。
蛙になった男のように、仏罰に当たって目覚めるのならまだ救いがあるともいえます。

「かえるとび」に教えられた仏様、蔵王さまの教えが、少しでも世に広がっていけば、世知辛い世の中も少しは良くなるのでは…と念じて、巻末のご挨拶と致します。

                         総本山金峯山寺執行長 田中利典

*********************

あとがきにも書いた通り、今回の絵本制作のきっかけはみうらじゅんさんとの対談でした(平城遷都1300年記念号・「旅の手帖」紙上です)。そのご縁ですてきな帯の推薦文と、蛙のイラストをみうらさんに書いていただきました。たくさんの人に知っていただく機会となれば嬉しいです。

なおなお、金峯山寺では来年の節分に向けて、シリーズ第3弾「(仮称)役行者と鬼さん」の制作企画を進めています。ご期待ください。

自著④「修験道っておもしろい!」

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自著紹介④

私の文章が載った書籍の紹介を終えましたが、自分の自著の紹介を引き続いて行っています。共著も入れて、計4冊。

今日は最終・・。

『修験道っておもしろい!』 出版社: 白馬社 (2004/10)

http://www.amazon.co.jp/%E4%BF%AE%E9%A8%93%E9%81%93%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%82%82%E3%81%97%E3%82%8D%E3%81%84-%E7%94%B0%E4%B8%AD-%E5%88%A9%E5%85%B8/dp/4938651491/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1370995510&sr=1-3

本書は処女作『吉野薫風抄』につづく自筆の随筆集。金峯山時報やその他の雑誌などで書かせていただいたものを、白馬社でとりまとめてもらったもの。本書も三刷を数えている。

とりわけ、役行者1300年大遠忌のイメージキャラで作った「山伏くん」を表紙にあしらった。なにかと気むずかしいイメージがある修験道を身近に感じていただこうと、採用した。

1千座護摩修行中の、ひげぼうぼうの写真が文中に挿入されていて、見物ですよ。

本書も横バーで注文できます。

千人結縁潅頂会

ご開帳が終わって、今日は拝観者もまばら。

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昨日の拝観者は最終日と言うこともあって1440人。で、今日は44人。ひっそりかんとしています。

さて今年の秋はご開帳はありませんが、10月11-14日に千人結縁潅頂という、一般のみなさまを対象にして、蔵王権現様と直接繋がっていただく修行会があります。
...
そもそも「潅頂」とは,お釈迦様が誕生されたとき,その頂に,天から甘露の雨が降り注いだという故事から始まったとされる儀式です.これにより,仏様とご縁を結び,日々の安楽と癒しの世界,将来の極楽浄土にお導き頂く守護仏を得仏することができます.

金峯山寺の千人潅頂会でご縁を結んでいただくのはもちろん『金剛蔵王権現さま』です。

結縁者には『得仏の証』として,蔵王権現様とのご縁を結ばれた証書とともに,金峯山寺秘蔵の『金峯山・牛王宝印』を授与します.この『結縁灌頂』は,入信,得度のための儀式ではありませんので,どなたでも、何度でも、蔵王権現様のご加護を結んで頂けます.

なお、期間中にご来山いただけない方のために、特別な作法で、蔵王権現様と結縁していただく「身代わり結縁」も受け付けております。「身代わり結縁」の証として、『金峯山・牛王宝印』とともに、『結縁五色紐』も授与します。

詳しくは金峯山寺までお問い合わせください。

自著紹介③『熊野 神と仏』

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自著紹介③

私の文章が載った書籍の紹介を終えましたが、自分の自著の紹介を引き続いて行っています。共著も入れて、計4冊。

③『熊野 神と仏』出版社: 原書房 (2009/9/24) 

http://www.amazon.co.jp/%E7%86%8A%E9%87%8E-%E7%A5%9E%E3%81%A8%E4%BB%8F-%E6%A4%8D%E5%B3%B6%E5%95%93%E5%8F%B8-%E4%B9%9D%E9%AC%BC%E5%AE%B6%E9%9A%86-%E7%94%B0%E4%B8%AD%E5%88%A9%E5%85%B8/dp/4562045132/ref=la_B004LURGJ8_1_3?ie=UTF8&qid=1370821341&sr=1-3

今日も共著です。
盟友と言ってもらっている敬愛する宗教人類学者植島啓司先生と熊野本宮大社九鬼家隆宮司と私との三人の著。三重県主催の朝日カルチャーセンター新宿教室での、「熊野」をテーマにした鼎談などを底本に、それぞれ加筆執筆して上梓されました。
三人で講座をしたのは、すでに6回くらいになります。
植島先生とはほかのテーマでも対談をしているので、もう10回くらいご一緒しています。希有なことですよね。

尚、今年の7月20日には久しぶりに朝カルで三人がそろい、講座をします。

*この本も横バーから注文いただけます。

講座「伊勢 日本人の宗教観」

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久しぶりの朝日カルチャーセンター新宿教室での講座出演です。植島・九鬼・吉野山人の懐かしのメンバーがそろいます。

講座「伊勢 日本人の宗教観」

内容:
古来より日本人の信仰の対象となり、「お伊勢さん」として愛されてきた伊勢神宮。2013年には20年に一度の式年遷宮が行われます。これを記念して、伊勢神道の真髄に迫るシンポジウムを開催します。

国内外の聖地を長年にわたり調査研究してきた植島氏をコーディネーターに、古からの神道の霊場である熊野三山から九鬼氏、日本古来の山岳信仰に神道や仏教などが混合した
吉野の修験道から田中氏、神道の研究者として伊勢神宮に造詣の深い櫻井氏をお招きし、日本の宗教において伊勢神宮とは何かを考えます

日時:7/20(土曜)16:00-18:00

詳しくは以下↓
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=208911&userflg=0

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7月はこの講座7/20と、吉野の桜保全フォーラム7/27、東京自由大学7/28と三講座に東京出向です。

自著②『はじめての修験道』

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自著紹介②

私の文章が載った書籍の紹介を終えましたが、自分の自著の紹介を引き続いて行っています。共著も入れて、計4冊。

今日はその第2弾。『はじめての修験道』出版社: 春秋社 (2004/11)

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BF%AE%E9%A8%93%E9%81%93-%E7%94%B0%E4%B8%AD-%E5%88%A9%E5%85%B8/dp/4393203046

本書は処女作『吉野薫風抄』の推薦文も書いていただいた盟友の正木晃先生との共著。私の自著の中では1番売れている本かもしれません。現在で4刷目。爆発的に売れるような本ではありませんが、ぼちぼち長く売れているのは嬉しいですね。

二人で書いた巻頭の文章「表白」を以下転記します。

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「表白」

修験道というたぐいまれな精神文化を知ってほしい。山伏の本当の姿を知ってほしい。
そういう想いから、この本は書かれている。書いたのは、現役の山伏と大学の宗教学者という二人組だ。

修験道は、一三〇〇年以上も前に活動した役行者が開祖だ。自然を先生として学び、日本古来の神々とインドからやって来た仏教の仏菩薩を、分け隔てなく尊崇する宗教だ。

この修験道を実践する者を、修験者あるいは山伏という。験(験力=霊力)を求めて修行するから修験者、山に伏して修行するから山伏と呼ばれる。

わかりやすい例をあげると、宮崎駿さんのアニメ『となりのトトロ』や『もののけ姫』に描かれているみたいに、自然と人間が共生している世界が、修験道や山伏の世界なのだ。

ところが、山伏というと、テレビの時代劇では、悪役と決まっている。悪代官から「おぬしもワルよの~」といわれて喜ぶ悪玉商人の越後屋とか大黒屋などと並んで、ひどい嫌われ役で、当然だけれど、哀れな斬られ役でもある。

どうしてこんなことになってしまったのか。原因は、明治維新から後の日本の歴史にある。
まず、明治政府は、修験道を徹底的に弾圧した。ひたすら富国強兵をめざした権力中枢からすれば、なによりも自然が大切と考え、地域に根付く神々や仏菩薩をあがめる修験道は「後進国日本」の象徴だったらしい。そこで、弾圧して、抹殺しようとした。あれほど仲睦まじかった神と仏も、むりやり離婚させられた。

この危機を、修験道は必死の努力で切り抜けはしたものの、修験道は迷信っぽくてくだらない宗教で、山伏は野蛮な悪い奴というイメージが、人々のあいだに定着してしまった。

大正も昭和も、その点はさして変わらなかった。修験道は弾圧こそされなくなったが、あいかわらず冷遇された。いまでも、山伏というと、テレビの時代劇では、悪役と決まっているのは、そのなごりといっていい。
 
しかし、最近は事情が少しずつ変わってきた。修験道や山伏を再評価しようという気運が盛り上がってきているのだ。

特に平成一六年(二〇〇四)七月、修験道の聖地として有名な吉野が、熊野や高野山とともに、世界遺産に登録されたことが非常に大きい。自然を先生として学び、日本古来の神々とインドからやって来た仏教の仏菩薩を、分け隔てなく尊崇する修験道こそ、日本の伝統文化の粋であり、世界に向かって誇るべきものだということが、ようやく理解されはじめたらしい。

あまり大きな声では言えないが、日本の伝統的な宗教や精神文化のなかには、賞味期限が切れかかっているものがかなりある。時代の変化に付いていけず、腐りかけていたり乾ききってしまっているのだ。

その点、修験道は賞味期限がまだたっぷり残っている。いや、それどころか、これからの対応次第で、ますます美味しく、しかも賞味期限が延びる可能性すら秘めている。
では、これからの対応とは、いったいどういうことか。

それは、みなさんに、修験道というたぐいまれな精神文化を知っていただき、山伏の本当の姿を知っていただくことに尽きる。

この本を書いたのが、現役の山伏と大学の宗教学者という二人組なのも、そこに理由がある。いわば現場と研究室から、最も新鮮な、しかもかたよらない情報を提供するためだ。

そして、できるなら、明治維新の神仏分離からずっと、近代化を推進する精神的な原動力として、日本人の頭を洗脳してきた一神教的な価値観をはらい清めたい。修験道のように、大自然と深く関わり、神と仏が仲良く暮してきた多神教的な価値観こそ、荒廃した日本人の心身を癒し、ひいては世界中の人々の心身を癒す、最高の方途なのだから。私たちは固くそう信じている。

この本を書くにあたり、さまざまな方々にお世話になった。 
まず、世界遺産登録にご尽力いただいたすべての方々に、あつくお礼申し上げたい。

修験道の信仰を、苦難を乗り越えて紡いできた先人たちの恩徳に感謝したい。そして、修験道大結集に賛同していただいた現代修験の正統なる継承者のみなさんと、世界遺産登録の喜びを分かち合うとともに、大護摩供出仕にあつくお礼申し上げたい。

春秋社の神田明社長、鈴木龍太郎編集長をはじめ、編集部と営業部の方々には、企画から本作りの最終段階まで、いろいろなところでお世話になった。とりわけ編集部の桑村正純さんには、具体的な作業のすべてにおいてご協力いただいた。あつくお礼申し上げたい。

                                       平成16年9月吉日
                                                              田中利典
                              正木晃

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本書はブログの横バーからも注文できます。

今日でご開帳も閉幕。。

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3月30日から始まった第三期秘仏蔵王堂ご開帳も今日まで。

期間中約8万2000人の参拝者がありました。

今日は午後5時から結願法要があります。是非お参りください。

自著①『吉野薫風抄ー修験道に思う』

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自著紹介①

私の文章が載った書籍の紹介を終えましたが、自分の自著の紹介を引き続いて行います。共著も入れて、計4冊。

まずは処女作の『吉野薫風抄―修験道に想う』出版社: 白馬社; 新装版 (2005/05)

http://www.amazon.co.jp/%E5%90%89%E9%87%8E%E8%96%AB%E9%A2%A8%E6%8A%84%E2%80%95%E4%BF%AE%E9%A8%93%E9%81%93%E3%81%AB%E6%83%B3%E3%81%86-%E7%94%B0%E4%B8%AD-%E5%88%A9%E5%85%B8/dp/493865153X

本書は平成4年10月に金峯山時報社から、自費出版にちかい形で2000冊出版しました。その後完売したので、平成17年に白馬社から復刻版が出ました。

25歳から34歳くらいまで、金峯山時報のコラム「蔵王清風」の欄に書いたエッセイをまとめたもの。「蔵王清風」は今も連載を続けています。あの頃は一文を書くのにずいぶん悩んで時間を掛けて書いていました。最近はあとがきのような軽い文章が多いですが、若い頃は熱かったと、読み返して、少し照れます。まあ若書きの渾身の一冊かも知れません。

復刻版に書いていただいた盟友正木晃先生の推薦文を転記します。

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正木晃先生推薦文

空海によれば、「文の起り必ず由有り」という。人が文章を書くのには、必ず理由があるという意味だ。また、「人感ずるときは筆を含む」ともいう。つまり人間はなにかに感動すると、文章を書きたくなるものらしい。

かくして誕生した第一作には、その作家のすべてがある。文学の領域では、よくこういわれる。たしかに大作家の第一作を読むと、技術の巧拙は別として、その人の特徴があますところなく、あらわれている。

宗教の領域でも、同じことがいえる。宗教家の著述は、その第一作において、その人物の宗教人生がもっとも端的に予見されている。空海の『三教指帰』がそうであり、最澄の『願文』がそうである。

田中利典師の第一作『吉野薫風抄』もまた、そういう意味で、師の宗教人生を予見している。おそらく田中師はこれから多くの著作もって、みずからの宗教人生を世に問うだろうが、そのほとんどは、ここに語られている主題を、時と場所に応じて自在に織り変える、いわば変奏曲になると私は想像する。

いや、著作がどうのこうなどは、小さな問題にすぎない。むしろ、田中師の宗教人生そのものが、『吉野薫風抄』に書かれた主題を、まさに身をもって実践することになるにちがいない。それほど、ここに書かれた主題は重い。いつの日か実践されたとき、日本の宗教界を一変させるほどの力を秘めている。

なぜかといえば、ここには日本における伝統仏教の真の姿が語られているからだ。田中師によれば、特定の祖師をもつ特定の宗派が、特定の教義にもとづいて、日本仏教を築きあげてきたなどというのは、まことしやかな虚構にすぎない。純粋な仏教というのも、近代化以降の学者や知識人が勝手につくりあげた幻想にすぎない。私もまったく同感である。

では問おう。日本における伝統仏教の真の姿とは、いったい何か。それは、神も仏もわけへだてなく崇め、しかもその神や仏を自然の中に見出すという信仰のあり方だった。

再び問おう。神も仏もわけへだてなく崇め、しかもその神や仏を自然の中に見出すという信仰のあり方とは、具体的には何を指しているのか。その答えは、修験道である。すなわち、修験道こそ、伝統仏教の真の姿にほかならないのだ。

疑問を抱く方のために、この事実を証明する数字をあげよう。明治初年の廃仏毀釈や修験道廃止令にともない、職を失った修験者・山伏は、いったい何人いたか。その答えは、なんと十七万。僧侶の数が総計で二十二万という現代仏教の状況からすれば、想像を絶する数字というしかない。それくらい、修験道は日本の庶民大衆にとって重要だった。まさにかけがえのない存在だったのだ。

したがって、もし日本の伝統仏教を再興するというならば、それはまずもって修験道の再興でなければならない。そして最近よく耳にするように、もし伝統文化の再興が、未曾有の危機にある二十一世紀の日本を救う道となるというのであれば、修験道の再興こそ、その最も確かな方途である。

『吉野薫風抄』をひもとけば、そこには修験道を再興しようという烈々たる想いがある。実に純で、まったく斜にかまえていない。その心意気はまことに素晴らしい。若書きゆえの直截な表現も激越な言葉も、田中師の宗教人生を予見していることに気付けば、十分に納得できる。読むほどに、修験道がんばれ!田中利典がんばれ!と叫びたくなる。

本書が十余年の星霜をへて復刊されたことを、日本の未来のために、喜びたい。

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めちゃめちゃ、褒めていただいている推薦文だが、正直、とても嬉しかったねえ。
照れながら転記しました。

*本書は横バーからお買い求めいただけます♪

6月9日までです

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3月30日から始まった今期の蔵王堂で秘仏ご本尊特別ご開帳も残すところあと4日。6月9日までです。

今年は秋はご開帳がありません。

是非、今ひとたび、御本尊にお出会いにおいでください。

シリーズ・山人の自薦書籍⑳:「仏教からみた修験の世界―修験道教義入門『修験三十三通記』を読む」

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シリーズ「山人の自薦書籍」・・・いろんなお陰様で、私は自著以外でもたくさんの関連書籍を出していただいています。

今日は第20弾です。
⑳「仏教からみた修験の世界―修験道教義入門『修験三十三通記』を読む」:出版社: 国書刊行会 (2000/06)

本書は私の大学時代の恩師で、卒業後もずーーーと師事させていただいている龍谷大学の淺田正博博士の本。私が大学を卒業して、叡山学院に進み、その後、金峯山寺に入寺したのを機会に、4年間、淺田先生に金峯山寺修験行院の仏教学講師をお願いすることになり、あわせて私が担当をしていた金峯山時報への寄稿をお願いした。この連載は5年に及んだが、連載していただいた原稿をもとに、出版したのが本書である。

あとがきにも書かせていただいているが、当初なかなかウンとは言ってもらえず、出版を口説き落とすのに10年近くかかった。

修験道を学ぶのに、並ぶものがない名著だと思っている。自薦書籍の最後になったが、第1番に推薦をさせていただきたい書籍である。

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シリーズ自薦書籍は一応、今回で終了する。

実はこれまで紹介した20冊(DVDが1つあるが・・・)以外にも、浅草寺文化講座集や龍谷ブックスなど、一般販売していないもので、講演録が載ったものはたくさんある。

また今年5月の「一個人」や6月号の「ならら」をはじめ、月刊誌、雑誌類で寄稿したものや取材記事で掲載されたものも多くあるが、入手不可能なものは紹介していない。

ただ今年はABC朝日放送でお話しした内容が『ちょっといい話ー第12集』として上梓されるし、金峯山寺編集の絵本「蛙飛び」も近く出版となる。その辺は逐次紹介させていただきたいと思う。

自薦図書ではなく、自著4冊もこのあと、続きで、アップしたいと思っている。

「権現様が好き!」

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<権現様が好き!>

「東大寺の大仏様はとても大きくて、とても素晴らしい。でも大仏様はお側に近寄っても、その眼は半眼でいつも遠いところを見ておられる。それは大仏様が国家安穏、風雨順時という大きな願いで、この國全体を見守っておられるから」・・・っていう法話をよくする。続きがある。

「それに比べて、蔵王権現様はその前に座ると、その座った人の心の中を見透かすように、カッと見開いた眼で、まるでのぞき込むように前屈みになって、私達に近づいておいでになる。大仏様も権現様もどちらも有り難いが、私は自分のことをじっーと見つめていただく権現様が大好きだ」とお話しする。

この3月末から6月9日まで、仁王門修理勧進の蔵王堂秘仏ご本尊の第三期ご開帳が行われている。もうあと9日で閉幕が迫った。

その秘仏ご本尊の前に、額づくたびに、いつも、自分の心の中が見透かされているようで、有り難いし、怖いし、嬉しくなる。蔵王堂内陣には期間中、発露の間が設けられているが、まさに参拝者ひとりひとりが権現様に自分の心を発露する空間である。きっと座った誰もが、有り難くて、怖くて、嬉しくなっておられると確信している。

4月末からは、週末ごとの夜間拝観も始まっている(今夜の夜間拝観で私の当番は終了する・・・)。

夜の権現様はまたまた昼間とは違うお顔をお見せになり、大迫力となる。ご宝前の導師席に佇み、闇夜に響く梵唄声明の流れる中で、権現様のお顔を見上げると、時には涙が止まらなくなるときがある。あるいはすでに亡なった父や母に見守られているような温かい気持ちになる。前の猊下に教えられた「ご本尊に嫌われるなよ!」っいう言葉を権現様から直接頂戴したような気持ちになる時もある。

蔵王一仏信仰というが、難しく考えることない。権現様をいかに自分が好きであるか、権現様からいかに好かれているか、そこを問えばよいのだと思う。ご開帳はじかにそういうことを感じさせていただく有り難い機会なのである。権現様のまえで感じていただきたいと念ずる次第…。

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