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随筆「大峯にて・・・」

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本宗の機関誌に連載している随筆。書きたてですが、早出しします。
表題は「大峯にて・・・」。
よろしければお読み下さい。

******************

「大峯奥駈修行ではどんな体験をされたのですか」と聞かれることがあるが、そんな大した人に誇れるほどの体験をしたわけではない。でもまあ出し惜しみをするわけでもないので、二、三の話を紹介している。

峯中、七つ池という靡でのこと。この靡では、苔むした大きな古木の前でお勤めをする。そのときもまた、いつものようにその大樹の前で、般若心経を唱えていた。ふと見ると、目の前の大樹を一匹の青虫が、必死に上を目指して登っていた。般若心経を唱える間、その青虫を見つめていたが、お経の終わる頃、ひらめきのように「この青虫は前世の私だったのだ」と思った。山深い大峯峯中で一生を終えた、いつかの青虫だった自分の、前世の姿を見せられたような気がしたのだ。「今生、人間として生まれてきて、今この大峯で、奥駈修行をさせていただいている。折角人間に生まれてきて、仏縁を得たのである。今生、この人間としての生を大切に、自分のするべき修行にもっと頑張らねばいけない‥」と、そういう気持ちが素直に湧いてきたのである。五分ほどのお勤めの間、数㍍しか進まない青虫の姿を見て、前世の自分に出逢わせていただいた、そんな貴重な体験をしたのだった。

またある年奥駈。その年は雨も多く、ぐったりとするくらい、峯中で疲れを感じていた。七曜ヶ岳の遙拝所だったと思う。いつものように皆で一心に勤行をしていたとき、私を取りまく全てのものと、私が繋がっているという自覚が、戦慄のように体を突き抜けたのであった。降りつづく雨、そしてその雨を受けている草も樹も岩も、山も空も風も、全てが自分と繋がっている。いや自然や宇宙そのものが私自身なのだと自覚したのだ。黙々と修行に専心する日々だからこそ、心と体が大自然にとけてしまう体験があるのだと思う。

峯中体験でもっとも感動したのは前鬼山へ降る坂の途中、二つ岩という行場での勤行中のこと。天上から白く大きな光に全身が包まれる感触に襲われたのだった。頭上からおりてきた光は、心も体も包み込んでいった。とても柔らかで暖かい光であった。そのとき「あぁ、もし自分が死を迎えるそのときは、こういう光に包まれる感覚でありたい…」とそう願ったのだった。朝四時前から歩き出し、まだ陽の空けやらぬ時間から、夕暮れ近くまで歩き通したその日は、すでに十一時間を越えようとしていた。疲労困憊の心身ではあったが、だからといって、気絶したわけではなく、意識は清々しいほどはっきりとしていた。山を下りて、あの時のような、白く暖かい光に包まれて死を迎えるためには、日々の暮らしの中で、それに相応しい生き方をしなければならないと自分を恥じたが、大自然の中で神仏を拝むとは、こういう瞬間に出会えるということでもあるのだ。だからこそ、山修行はやめられないのだと思うのである。          

11月3日は林南院開山40周年記念大祭・・・是非!ご参拝下さい。

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表題の林南院とは京都府下綾部という片田舎にある私の自坊のことである。

その自坊が今年で開山40周年を迎える。

昭和49年、亡父は、約25年の長きにわたり主管を勤めてきた金峯山寺末の某教会を辞して、自分の家を解体し、その地に、信者様の支援を得て新寺「大容山林南院」を建立する。それから40年・・・。その間、多くの人に支えられてきた。ありがたいばかりである。

平成13年7月に父は85歳で亡くなった。同年4月から金峯山修験本宗の宗務総長に就いていた私だったが、父のあとを嗣いで、第2世の住職となった。

さて、父の代は年間1000人を越える人々にお会いし、また月参りや加持祈祷の出張も年間で100軒を数えるなど、寺門は大いに興隆していたが、私の代になってからは、単身赴任で宗務総長の仕事を勤めるという激務?の傍らということもあり、すっかり自坊の法務はさぼってしまっている。信者様と会うのは年間80人足らず、出張も20軒にも満たないようなことになったのである。まあ往時の10分の1以下となった・・・。

必然的に毎月3日と19日に行っている月例護摩祭の参拝者も激減。また秋と節分に開催する年次大祭もチョー激減した。それでも、毎年11月3日に行う大護摩供大祭には今も70人くらいはなんとか来て頂いている。父の往時は150~200人はいたから、半分であるが、でも、日常の法務が10分の1以下なのだから、よくお参りしていただいているものだと、心底、感謝している。 ・・・ちょっとさぼりすぎですが。

そういう感謝を込めての、今年40周年記念大祭。11月3日午前10時半からの執行。

↑ という文章は実は5年前の35周年でブログに書いたものとほぼ同じ。数は更に減っているから、反省のあとも見あたらない始末である。

でもまあ、もしよろしければ40周年祭に、お参りしてやって下さい。

金峯山修験精鋭の行者さんに集っていただき、午前中は法華三昧法要と法話、午後からは恒例の採灯大護摩供と、修験道の秘法火渡り・火生三昧も行います。金峯山修験の精鋭の行者さんに集まってもらいます。

更に思い切って着手した「石の大鳥居建立」や、テントの新調、脳天堂庇の改修などの40周年記念事業の完成披露も行います。

なお参拝者にはお昼ご飯の接待や、40周年記念参拝品も今年は特別に用意しておりますので・・・。

詳しくは林南院HPまで↓

http://homepage3.nifty.com/enno-f/rinnan-in/event.htm

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金峯山寺「千人潅頂会」のお知らせ

金峯山寺「千人潅頂会」のお知らせ。

来る10月11-14日にわたって、金峯山寺では「千人結縁潅頂」という、一般のみなさまを対象にして、蔵王権現様と直接繋がっていただく修行会が行われます。梵唄声明の流れる中、護摩の秘法が修され、蔵王堂という日本第1の潅頂道場で、神仏の世界と直接結びつく壮麗な儀礼が執り行われます。
...
そもそも「潅頂」とは,お釈迦様が誕生されたとき,その頂に,天から甘露の雨が降り注いだという故事から始まったとされる儀式です.これにより,仏様とご縁を結び,日々の安楽と癒しの世界,将来の極楽浄土にお導き頂く守護仏を得仏することができます.

金峯山寺の千人潅頂会でご縁を結んでいただくのはもちろん『秘仏金剛蔵王権現さま』です。 また結縁者には『得仏の証』として,蔵王権現様とのご縁を結ばれた証書とともに,金峯山寺秘蔵の『金峯山・牛王宝印』を授与します.この『結縁灌頂』は,入信,得度のための儀式ではありませんので,どなたでも、何度でも、蔵王権現様のご加護を結んで頂けます.
なお、期間中にご来山いただけない方のために、特別な作法で、蔵王権現様と結縁していただく「身代わり結縁」(5000円)も受け付けております。「身代わり結縁」の証として、『金峯山・牛王宝印』とともに、『結縁五色紐』も授与します。

結縁潅頂の冥加料は2万円(和紙袈裟、牛王宝印、白華、結縁五色紐、法灯血脈譜、『信仰の手引き本』、蔵王権現御影絵などの授与物を含む)。入行の時間帯など、詳しくは金峯山寺までお問い合わせください。

10月11日 午後1時  △
       午後4時  ×
10月12日 午前10時  ○
       午後1時  ○
              午後4時   ○
10月13日 午前10時  ○
       午後1時  ○
              午後4時   ×
10月12日 午前10時  ×
       午後1時  ○
              午後4時   ○

○は空席あり。△は若干の余裕あり。×は受付中止・・・となっています。
当日の受付も行っています。
参加される方は、会のはじまる1時間前に受付においで下さい。

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