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金峯山寺の絵本シリーズ第三弾「鬼と行者さま」

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新年明けましておめでとうございます。

今年最初のブログ更新です。

年末に、金峯山寺の絵本シリーズ第三弾「鬼と行者さま」が上梓されました。 帯の推薦文は茂木健一郎先生に書いて頂きました。

まだご存じない方は是非、ご購入ください。

また、この絵本シリーズの後書きは全部、私が書いています。
この「鬼と行者さま」も書きました。以下、よろしければ、参照ください。...

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「あとがき」

鬼にもいろんな鬼があります。辞書によれば、鬼には「恐るべき他界者の意義を中心に、(一)異形醜悪、(二)超人超能力者、(三)邪神、(四)亡者、(五)異族など」(『日本大百科全書』引用)があるといいます。一般には災いをもたらす悪い鬼ばかりを想像しますが、秋田のナマハゲや岩手のスネカのように、時には幸福をもたらす類の、善い鬼もあるのだそうです。

ところで金峯山寺の鬼はどんな鬼か?というと、ご開祖の役行者に調伏され、後に、役行者の侍者として付き従った、夫婦の鬼です。名前は前鬼・後鬼といいます。その鬼夫婦が、役行者の弟子となった由来の説話を今回は絵本にしました。

さて、前作の『蛙とび』では、金峯山寺の伝統行事「蓮華会・蛙飛び行事」の中に出る大青蛙の話を絵本にしましたが、蓮華会に登場する大青蛙の着ぐるみと同じように、もう一つの伝統行事「節分会・鬼火の祭典」では、赤・青(ホントは緑色)・黒の、三色の鬼の着ぐるみが活躍します。考えてみれば金峯山寺は、着ぐるみのよく出てくるお寺です。

この行事の最初、鬼達は堂内狭しと暴れ回り、クライマックスでは、着ぐるみの鬼達に「福は内、鬼も内~」と豆が撒かれ、鬼は降参して平身低頭します。「福は内、鬼も内~」が金峯山寺独特の豆まきなのです。その由来は今回の絵本の主題である、役行者が夫婦の鬼を法力で懲らしめ諭し、改心させた後、弟子としたという説話がもとになっています。

節分の日、全国各地で「鬼は外~」と追いやられた可哀相な鬼達を、「鬼も内~」と蔵王堂に集め、役行者の慈悲で救うというモチーフで、行事は進行するのです。役行者は単に、人の子どもをさらう悪い鬼を懲らしめただけではなく、慈悲を以て弟子とし、そばに置いて、善い鬼となさしめました。ここに役行者の素晴らしさがあります。

前2作同様に作画松田大児さんの柔らかい絵で、そこのところがうまく読者に伝わればと念じてやみません。

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本はコミニケ出版から出ています。全国発売です。

詳しくは http://www.amazon.co.jp/dp/4903841103/ref=cm_sw_r_fa_dp_q20Xsb088QWXY

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