「修験道の真実と未来」
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「修験道の真実と未来」
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東大寺や法隆寺、そして春日大社などの南都諸社寺をはじめ、薬師寺や石上神宮、わが金峯山寺など奈良県下の古刹と、天理教や立正佼成会といった新宗教が、宗派や宗旨をこえて協力し活動している奈良県宗教者フォーラム実行委員会。神も仏も日本のこころ・・・というテーマで活動が続く、、超宗教の集いであり、奈良県独特の取り組みと言える。
この本年の大会が今日、午後1時から春日大社で開催される。数えて第11回大会となる。今年のテーマは「大和と伊勢神宮」。私はこのフォーラムには第2回大会から参加し、第6回大会から実行委員を仰せつかってきた。
さて、今日の第11回大会の日に、過去第8回から第10回まで3年間の大会記録が、『修験道の真実と未来ー神と仏と日本のこころ』と題して、宗教者フォーラム編で京阪奈教育情報出版より刊行され、発売されることになった。会場で新発売されるのである。
実は第8回大会と昨年の第10回大会は金峯山寺を会場に催されたが、8,9,10回と3大会連続で「修験道」がテーマとされた。8回と10回の金峯山寺大会の実行委員長は私がつとめたが、その私と、連続修験講座の提案者である春日大社の岡本彰夫権宮司が編集委員となって、今回の大会記録集を制作したのである。
修験道の入門編、中級編、考究編と3部立てとなっており、かなり面白い。
定価は1300円(税別)。金峯山寺をはじめ、全国で発売される。
以下。私の巻末文を転記する。
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おわりに
奈良県宗教者フォーラムの大きな特徴は、実行委員会を構成する奈良の古社寺と新宗教との、宗教の枠を越えた仲のよさである。他府県の宗教界ではあまり聞かない状態といえよう。
修験道は明治の神仏分離、修験道廃止の施策によって、壊滅的な状況に陥り、以降、徐々に復興は遂げているといえ、宗教史や文化史の上でも、正統な評価を与えられていない。とりわけ伝統宗教の中では、他の古社寺同様に、日本人古来の信仰形態を伝えているにも関わらず、あまり関係性を持たないのが実情といえた。
そんな中、奈良の古社寺と新宗教の代表的宗教者による本会が、修験道とがっぷり四つに組んだ三年にわたるフォーラムを成功に導いたのは、偏に、この宗教者同士の仲のよさであると言って過言ではない。
一神教世界はいざ知らず、日本は仏教伝来の昔から、神と仏は仲むつまじく、互いに影響を持ちながら、日本人の精神文化を育んできた。今回テーマとなった修験道はその土壌のもとに生まれた日本人の民俗宗教である。
もちろん長い歴史の中では、神道と仏教の間で多少の争いはあったにしろ、神仏和合の心が、日本人の宗教心の根幹を作り上げて来たのは間違いない。
そういう意味では、神仏分離が断行された明治以後、様相は一変したとはいえ、今なお、その神仏和合の心のもとに集う当会の意義は大きい。
もともと宗教者同士の勉強会で始まった当会であるが、本書の上梓を機に、更に宗教者以外の多くの方々との繋がりを広げつつ、十年の節目を経て、大いなる発展を果たすものと確信をしている。 (編集委員 田中 利典)
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