「私の愛する吉野の紅葉」・・・奈良大和路の紅葉
紅葉の名所と言えば大方が楓の紅葉である。日本中に美しい楓の紅葉名所は点在する。
ところが吉野山の紅葉というと、楓ではなく、全山を覆う山桜の紅葉が主役となる。
楓と違って山桜は、毎年そんなに上手に色づくわけではなく、年ごとの気候に左右されるため風景が変則で、またその紅葉も、眩しいばかりの錦秋というより、可憐で深い色合いとなる。そこに他の名所とは異なる、吉野独特の風情を感じるのは私だけではあるまい。
吉野山にも幾ばくかの美しい楓の名木はあるし、秋には綺麗な紅葉や黄葉に彩られるが、全山を覆うのは山桜ばかりなのである。
これにはわけがある・・・・
ー「私の愛する吉野の紅葉」田中利典から
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上記の文章は、さきほど出版された淡交社の『奈良大和路の紅葉』に掲載された小生の一文である。文の続きは本書でぜひ読んで頂けたらと思います。
本書は奈良の紅葉名所を網羅した一冊。
文章は私の他に、盟友である春日大社の岡本彰夫権宮司や万葉学者の上野誠先生など、私を除いては全員奈良を代表する学識者ばかり。
これも私の文章を除いては、美しい紅葉の写真をみごとに演出する名文が掲載されている。
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