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「お帰り」

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私は15の春に金峯山寺の管長さまの下で得度受戒し、実家を出て、比叡山高校にすすんだ。夏休みは吉野の管長さまの自坊でお手伝いに上がった。

その頃、実家に帰ったときだけではなく、比叡山に戻ったとき、吉野に上山したとき、それぞれに「お帰り!」と言っていただいた。

吉野は管長様の奥様、そして比叡山では、私の保証人になっていただいた井深大僧正の奥様だった。

昨年秋に管長さまの奥様が93才で亡くなった。そして昨日は比叡山・滋賀院門跡であった井深観譲大僧正が亡くなり、葬儀が行われた。

早春の光り輝く日差しの下、大僧正を乗せた車が坂本の里を後にする姿を見送りながら、「お帰り!」と言ってもらえる大切な場所をまたひとつ亡くしたような気持ちになり、惜別の哀しみを抱きしめていた。

考えてみれば、大変お世話になったのに、なにほどの恩返しも出来ていないのが正直な気持ちである。それは井深大僧正だけではなく、今までお世話になった両親や恩人、師の数々に対して、いつもそうだったように感じる。

人は恩を受けたそのお返しをほとんど恩人には返さないで生きているのかもしれない。だかからこそ、自分の受けた恩以上に、自分に関わる多くの人に返すことでしか、恩人への恩返しは出来ないのかも知れない。

もちろん世の中には恩知らずな人はたくさんいるし、私自身もひどい目にあったことは数々あるが、自分自身も又、大切な恩人にはなにひとつ返せぬままに生きていることを、改めて自覚させられたお葬儀だった。

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井深大僧正さま。長年にわたり有り難うございました。

きっと今頃は、先に行って待ちくたびれておかれるはずの奥様と、それからうちの管長様夫妻と、極楽浄土の御許で、旧交を温め合っておられるのかも知れません。

みなさんに、よろしくお伝えください。

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