「修験道はローカリズム」
「修験道はローカリズム」
仏教というのは今から一千四百年ほど前、正式には西暦五三八年とか五五二年といいますが、六世紀の半ばに正式に日本に伝わってきた。もちろんそれ以前から帰化人によって民間では伝えられてきた教えではありますが、ともかく外国から正式に仏教という宗教が入ってきた。
この外国から入ってきた仏教という宗教は、実はグローバルな宗教なんです。仏教はインドで生まれましたが、インドではもう仏教はほとんど残っていなくて、インド人の1パーセントも仏教徒ではなくなっていますが、そのインドからはじまった仏教は、南に伝わり、北に伝わりしながら、中国、韓国を経て日本、あるいはスリランカ、マレーシア、タイといった東アジアを中心に世界中に広がっていったという、極めてグローバルな教えなんです。ですからイスラム教とキリスト教と並んで仏教は、世界三大宗教といわれます。
そのグローバルな宗教が日本にやってきて神道と融合する。これを「神仏習合」といいますが、そういうことが起り、日本の精神文化の基礎を成すものになっていった。
そして神道は神道で仏教の影響を受け、仏教は仏教で神道の影響を受けながら、まあ当初、崇仏派の蘇我氏と廃仏派の物部氏との戦いがあったとはいえ、少なくとも明治の神仏分離まで、1300年ぐらいは仲良く共存をしてきた。
神仏習合、本地垂迹(ほんじすいじゃく)・・・いろんな考え方を生みながら日本人に定着をしてきたわけです。それで、私のいる金峯山寺というお寺は修験道の聖地にあるお寺なんですけれども、修験道というのはまさにその仏教を父に、神道を母に生まれた、メイド・イン・ジャパンのローカルな宗教なんです。
ー「第5回紀伊山地三霊場会議フォーラム」 2014.10.18 於あべのハルカス
第1部:基調講演 田中利典 「紀伊山地の聖地性とその魅力」
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