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蔵王供正行31日目  「O・M・A・・・感謝」

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「O・M・A・・・感謝」

蔵王供正行31日目(5月31日)。晴れのち曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第61座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第62座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時10分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
参拝者は1名。広島大学の町田先生が御来山。恐縮でした。
助法は愚息が留守で、京都宝生講の垣尾さんに来て頂く。          

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「O・M・A・・・感謝」

世の中、とにかく、感謝が足りないように思う。

いや私自身が感謝が足りないことをこの蔵王供修行で身に沁みて感じています。蔵王権現様に感謝、役行者さまに感謝、助法のみなさん、家族、そして支えていただくたくさんの人々にひたすら感謝の日々です。

感謝の足りない人は、ともかく文句ばかりいう。ぷりぷりしている。がさがさしている。側に居て不愉快になる。鼻つまみものである・・・でも、それがなかなか気づけない。同じ人間でも、感謝で暮らす顔と、不平不満で暮らす顔ではあきらかに違う。不平不満の顔は自らを不幸にさえする。そこに気づけないのが、業なのか・・・。

もう随分前から「O・M・A」運動を提唱してきた。大間のマグロではない・・・大間のマグロ協会もOMAなのであるが・・・(^_^;)。

おかげさま、もったいない、ありがたいのO・M・A。すなわち、感謝の極みである。

行三昧の中で、ご本尊に額づきながら、あらためて、OMAをかみしめている。

そういえば、今日来山いただいた町田宗鳳先生は「ありがとう禅」の提唱者である。今日のご縁にも感謝である。

写真は、今日の参拝者、町田先生と垣尾さんとの記念写真です。

蔵王供正行30日目  「東京行者講」

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「東京行者講」

蔵王供正行30日目(5月30日)。晴れのち曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第59座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第60座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
参拝者は1名。東京行者講の講長伊藤さんが行見舞いをかねて、来山。行明けの計画などを相談する。          

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「東京行者講」

私は東京に護摩道場を開設している。弟子の伊藤さんの全面的な協力のもとに、一昨年6月に江戸川区の平井に開いた。私が会長で、伊藤さんが講長。ま、どっちがえらいのかわかりにくいが、二人でやらせていただいている。

今日はその伊藤講長が来山。一緒に護摩行に出ていただき、護摩のあと、今季の富士登山や大山修行などの相談を進めた。

東京行者講は東京を拠点に、私自身の場を更に広げたい思いを以てスタートさせたが、あまり宗派にこだわることなく、修験全体の広がりを持った場になればという思いもある。そういう思いで名前をつけた。

今年からは、毎月第4日曜日に上京して、護摩を焚いている。とはいえ、まだまだ活動は小さく、いまの蔵王供修行を終えてからが本番。護摩だけではなく、山の登拝や断食道場、法話会・研修会活動など、本格的に始動させていければと思っている。

5月は参籠中でいけなかったが、6月28日の月例護摩には上京する。また、8月末には年中行事となっている富士登拝修行も行者講として主催していく予定である。

写真はJR総武線平井の駅からほど近い、蔵前通りに上がる東京行者講のでかい看板。これが目印です。いま毎日焚いている脳天堂での護摩と比べると、この行者講の護摩は凄いかも・・・。どう凄いのかはおいでになって体験してください。

毎日新聞の京都府下・地方版に出ました。

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先日取材のあった毎日新聞舞鶴支局さまから、蔵王供修行の記事を書いていただきました。

丹波・丹後という地方版ですが、カラーで大きな扱いです。

蔵王供正行29日目  「老兵は死なず・・・」

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「老兵は死なず・・・」

蔵王供正行29日目(5月29日)。快晴。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第55座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第56座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
参拝者は3名。難病を患うお孫さんを連れて、信者さんがお参りいただいた。護摩を終えて、お加持をさせていただく。          

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「老兵は死なず・・・」

この春、金峯山寺の役職を下りたが、その後、吉野ではさまざまな動きがある。予想をしていた範囲内だが、その喧噪をよそに、参籠生活というのは、どこかで申し訳ないような、しかし、それは私自身が望んだということでもないので、流れのままに、いまを行じている。

40、50は洟垂れ小僧というお坊さんの世界であるが、ほんとは40.50代というのは人間が仕事をする上では旬である。確かに人としての完成は、60代からの人生に答えがあるのだろうが、仕事をするのは、60,70になってから、というのはどうかなあとも思える。

そういう意味では私は45歳で宗務総長にしていただいたので、有り難かったと今は思える。就任した当初は、どこに行っても一番若い総長だったので、恐縮したが、足かけ15年の間にいろんなことを経験させて頂き、いろんな仕事に携わることが出来たのだった。

吉野の本山は、内局が管長職を中心に大いに若返る。実は金峯山寺というお寺は1300年以上の歴史を刻む古刹であるが、宗門としては、戦後の立宗で、極めて若い宗団である。そういう意味では、若さが取り柄と言ってもいいだろう。「40.50の洟垂れ小僧」集団が、きっと、いい仕事をしてくれるだろうと思っている。

とはいえ、老兵は死なず・・・で、私もまだまだこれからの人生である。いやいや、僧侶としてはこれからが本番なのだ。そのための仕切り直しの修行の日々を、いま生きているのである。

写真は難病のお孫さんを気づかいながらお参りしていただた今日の護摩。

蔵王供正行28日目  「神と仏と権現さま」

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「神と仏と権現さま」

蔵王供正行28日目(5月28日)。晴れ。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第53座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第54座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
16時、氏神さまと稲荷山へ散歩参拝。

参拝者はまたもうやの、ゼロ。          

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「神と仏と権現さま」

日本は神の国だと思う。その神を崇める国に、6世紀頃、仏教が伝来する。そこで少しだけ神と仏の相克があったが、そのあと、約1300年間は仲むつまじく、両者の関係はあった。そう明治の神仏分離の時代までは・・・。

まあ、そのことはいいとして、仲むつまじい神と仏の間は、お互いがお互いを助け合い、補填し合って、日本の文化が創造されてきたように思う。

ところで、私はいま、毎日、権現さまを拝んでいる。権現さまは神でもあり、仏でもある。神仏習合が生んだ日本独自の尊格であるが、毎日毎日拝んでいて、やはり権現さまは神さまなのかも知れないと、思ったりしている。

もちろん、権現さまを供養する方法は密教の十八行道法立ての儀軌なので、仏教式の拝み方なのではあるが、毎日毎日拝んでいる内に、神さまっぽい感じがしてならない。外来の仏たちとは、なんだか異なる尊神のように思うのである。いや、その形相や教義的裏付けは、仏の世界のものなのだが、その奥に由来する荒ぶる神と和魂のバランスに出会うとき、やはり日本的な神さまなんじゃないかなと思ってしまうのである。

もちろん神でも仏でもいい。お力さえ、いただけるのであれば、私達はそんなことには一向に構う民族ではないのだから・・・。

写真は旧吉野安禅寺本尊の蔵王権現立像。

蔵王供正行27日目  「千客万来」

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「千客万来」

蔵王供正行27日目(5月27日)。快晴。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第53座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第54座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂
10時50分、元全日仏青第17代理事長宮寺さんの来山

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
                          
参拝者3名。これも前触れなく来てくれた吉野の友人と、
千葉からのご参拝。

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「千客万来」

今日で27日目。その間、誰の参拝もなかったのは4日ほどで、有り難いことに誰か来て頂いている。今日は午前中に突如、全日本仏教青年会第17代理事長の宮寺さんが来てくれた。先日、東京からきてくれた坂本さんが第15代理事長で、私の弟が第16代。実はいずれも私自身は全日仏青を卒業してからの理事長さまで、とても有り難い行見舞いであった。

午後の護摩には、吉野からと千葉からのご参拝。吉野から来てくれた友人は30年来の付き合いであるが、千葉からおいでになったのはFBを通じてのお知り合いである。

中日を迎え、ここ2日ばかり、参拝者0が続いていたので、今日はなんだか、千客万来という一日であった。

今日は愛染明王さまのご縁日。本堂で、夕方、供養法を一座修法した。

写真は宮寺さんとの自撮り写真。だいぶひげが伸びてきたなあ・・。

蔵王供正行26日目 「時間」

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「時間」

蔵王供正行26日目(5月26日)。快晴。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第51座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第52座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂
11時、連合自治会長来山。

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂

参拝者0名。後半戦、参拝者がない。

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「時間」

前半のお行は時間に追われることが多かった。準備不足のせいである。2週間を過ぎて、事務も整い、また行の時間に体も馴染んできて、少し落ち着いた日程になってきた。

とはいえ、もう半分を過ぎたのだから、このあとはあっという間に終わりをむかえることになるのかもしれない。時間を無駄には過ごせない。

行中、なにもしないというわけにはいかない事情もあり、思ったよりは、読書や瞑想をする時間が取れていない。ようやく時間に追われる生活から、開放されたはずだが、なんだか予想したほどは、自由な時間がなくて、あまりいつもとかわらない毎日を過ごしているようにも思う。

確かに言えることがひとつある。
やはり世の中から取り残されている感が大きい。
鶯がさえずり、蛙が大合唱をする片田舎に籠もると言うことは、そういうことなんだと、ゆったりと流れ出した時間が私に教えてくれている。

写真は家人による今日の護摩。毎日撮ってくれているが、今日もまさに、蔵王権現さま、降臨か??

蔵王供正行25日目「代受苦」

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「代受苦・・・」

蔵王供正行25日目(5月25日)。晴れときどき曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第49座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第50座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
参拝者0名。

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「代受苦・・・」

今日がこのお行の中日である。あと半分しかない、と思うか、あと半分もあると思うか・・・。

実は入行以来、寝不足が続いている。寝られないと、寝よう寝ようとして夜中に焦るので、よけい眠れなくなる。思いあぐねて、睡眠導入剤を飲もうかと、2年前からご縁をいただいた漢方医の先生に相談したら、明快におこたえをいただいた。寝られなくても、睡眠剤を飲まないのが修行です、ということだった。

「代受苦・・・」

蔵王供正行25日目(5月25日)。晴れときどき曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第47座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第48座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
参拝者0名。

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「代受苦・・・」

今日がこのお行の中日である。あと半分しかない、と思うか、あと半分もあると思うか・・・。

実は入行以来、寝不足が続いている。ここ3年ほど、忙しさのあまり、寝付きが悪くなって、睡眠導入剤を常用していたが、今回の修行をきっかけに、止めることにした。そのせいもあってなかなか寝付けない日が続いた。

2年前からご縁をいただいた漢方医の先生に、そのことを相談したら、明快におこたえをいただいた。寝られなくても、止めるのも修行です、ということだった。

行中はいろんなことが身に起こる。今回は利他行ということで、たくさんの方のご祈願も受けている。多くの方々のいろんなものを、背負わせていただいて修行をしているのである。さわりも受けるし、気も休まらないことにも陥るが、それも含めて、修行だと思う。いや、そこが修行なのだから、睡眠薬などで誤魔化して、そこを逃げるのはだめだということなのだ。

代受苦という言葉がある。

「本来自分が受けていたかもしれない痛み苦しみを代わりに受ける」という意味だが、化他行とは代受苦であらねばならないということを思いだし、先生とお話をして腑に落ちたのだった。寝られないのも修行の一部だと思うと、寝れない焦りも消えた。

しばし、修行のひとときをしっかり受け止めていたいと思う。まだ残された修行の時間が半分もあるというありがたさをかみしめて・・・。

写真は、今回の蔵王供修法のために、金峯山寺から新しくお迎えした蔵王権現像と今日の護摩。

 蔵王供正行24日目  「煩悩・・・」

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「煩悩・・・」

蔵王供正行24日目(5月24日)。晴れときどき曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第47座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法            於本堂 

9時、第48座目蔵王権現供養法修法       於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法         於本堂

12時半、水行                  於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂

    
参拝者1名。

大津から聖護院の行者さまが随喜に来山。お護摩に出て頂く。

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「煩悩・・・」

蔵王供千願祈祷の法楽行として、毎日午後から護摩を行じている。

お護摩だから火を焚く。ただの火ではない。たき火やキャンプファイアーの火とはわけが違うのである。

なんの「火」か。それは、如来の智慧の火である。

護摩記、観想に曰く・・「我ら念念熾盛起こる所の業苦煩悩の薪を、大日遍昭の智火を以てこれを焼き尽くす。故に我らの凡身は大日の覚体と同体不二、不二の故に苦界楽邦を成る」・・・大日如来、蔵王権現の智慧の火で、自らの、そして祈願する多くの方々の煩悩悪業を焼き清めることで、祈願が成就され、楽邦に至ると観想するのである。

今日でほぼ修行も半分のところまで来た。明日が中日である。

そして私は今日も、自分の煩悩ばかりを燃やしていたのかもしれない。
熱い護摩だった。

今日、吉野ではKOBOトレラン2015が開催された。私がはじめた弘法大師開創の道プロジェクトで生まれたトレイルレースである。無事、開催成就を、はるか、丹波から祈った。

写真は野本さんの写真4枚目。

蔵王供正行22~23日目 「有り難い」

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「有り難い」

蔵王供正行22日目(5月22日)。快晴。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第43座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第44座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
    参拝者3名。
    護摩の前に、東京から、友人S氏が奥様連れでお見舞いに来山。
    参拝者はミクシイ友だちと、宗務総長にお世話になった
    Kさんの二組。今日もいい天気だった。
    境内に黒い蛇が出て、大騒ぎとなった。

蔵王供正行23日目(5月23日)。。
日程同じ。45座、46座修法

    参拝者5名。
    護摩に併せて、名張より弟子の慧月くんが来山。
    東京から大橋さんという大学の先生もおいでになり、
    地元の信者さんも参拝という賑やかなお参りになった。

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「有り難い」

ありがとう、の反対言葉は、あたりまえ。

ありがとうは有り難いということで、希有なこと、不可思議なことでもある。

生きているのは奇跡であり、息をするのも、朝目が覚めるのも、元気で暮らせるのも、実は希有な毎日を生きている。生かされているともいえる。

そこを忘れると、当たり前のように、生きることになる。なんでもあたりまえ。息ができるのも、三度のおまんまが食べられるのも、朝目が覚めるのも、あたりまえ、っていうことになるわけ。

「おまえ、このところ、あたりまえに生きてたんじゃないの!」と、今日の蔵王さんは、いつも以上に厳しく私をみていてくださったようだった。

ここ10年、確かにいそがしくする中で、全部があたりまえのような、そんな我が物顔の私がいたのかもしれない。

昨日も今日も遠来の方々にお見舞いに来て頂く。ほんとうに有り難いことである、ありがたさを改めて、かみしめている。

写真は今日のお護摩。いままでいちばん火が痛い護摩でした。

蔵王供正行21日目 「入我我入」

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「入我我入」

蔵王供正行21日目(5月21日)。晴れときどき曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第41座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第42座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂   

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
    参拝者0名。・・・護摩が終わって一人来山。
    夜に京都から知人が来山。

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「入我我入」

今日で1日の入行以来、3週間となる。

しかしながら、なかなか入我我入(ご本尊と行者とが一体になる)というような境地には届かない。ただ一身に、ご祈願を蔵王権現様にお届けするだけである。

私の周りには、お不動さんの声を聞けたり、神様と直接お話が出来たりする行者さんがいる。ちょっと頭がおかしいともいえなくもない方もなかにはいるが、ちゃんとしている人もいて、全面否定はしない。いや、それはそれでとても素晴らしいことだと思う。そういう意味では、私にはそういうようなことが起きない。

今回も、100座の蔵王供を発願して、毎日毎日、蔵王権現様の前で祈りを込めているが、うんともすんともであり、直接に声を聞けるわけではない。

でも、なにか、自分の中の仏性というか、仏心というか、そういうものに触れるような気持ちにさせてもらう日もある。ただ、ここでみなさんに披瀝できるような、深いものではないけれど。

つまり、入我我入とまではいかないが、仏さまを一心に拝む冥加みたいなものは、少しずつだが、広がっているようにも思う。

ま、本当は権現様に、まだまだや!と言われていることは間違いない。

実は私は以前から「あんたは大きな力に守られますねえ」と、何人もの人に言われている。私にはわからぬが、人生を振り返ると、確かにそういうふうにも思える。守られているし、背中を押して頂いているから、大きな仕事に関わることが出来、多くの仕事を成し遂げることが出来た。私がしたのではなく、やらされた感が強いくらいだ。だから確かに大きな力に守られているのは違いないだろう。

今回の修行も実は、権現様や行者さまの掌の中で、私が勝手にのたうち回っているだけなのかもしれない。入我我入出来るなら、ここ数年にわたる私の置かれている状況の真意について、いろいろと、直接、聞いてみたいモノである。

写真は権現様、降臨を思わせる護摩の写真。

蔵王供正行20日目 「縁の行者」

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「縁の行者」

蔵王供正行20日目(5月20日)。晴れときどき曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第39座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第40座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂   
11時、毎日新聞舞鶴支局より取材あり。                 

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
    参拝者1名。林南院の古くからの信者さんで、
    今日はこの方のご家族全員のご祈祷の1日だった。
    夕方、1時間ほど、境内を出て、散歩する。

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「縁の行者」

今までの自分が歩いてきた道を振り返ると、そこにはたくさんの人とのご縁があった。

そのご縁のお蔭でいまの自分があり、また多くの仕事に関わることが出来た。

修験三本山の合同や、吉野大峯の世界遺産登録、3つの特別展覧会、役行者霊場会発足、神仏霊場会や紀伊山地三霊場会議設立、吉野ー高野弘法大師の道開闢プロジェクト、修験道ルネッサンスなど、枚挙に暇なく、自分の身の丈を越えた事業に関わり、発願し、成し遂げられたのも、全ては人とのご縁であった。

500回を越える講演会やシンポへの出演も、5冊の著作をはじめ、たくさんの出版物への執筆や雑誌新聞テレビの取材も、すべてが人との縁であり、自分からテレビに出たいとか、講演会をしたいとか、売り込んでやったことはない。著作は5冊の内、3冊は自分で出そうとしたのですけど・・・(^_^;)

たくさんの人が私を導いて下さった賜物であり、私自身もそれらの出会いを、更に、多くの人へ繋げ、広げていかせていただくことになった。

まさに役行者ならぬ、「縁の行者」である。

今日、蔵王供千願祈祷修行の取材を、毎日新聞舞鶴支局の記者さんから受けたが、彼は私が呼びかけて行った大峯山上での修験三本山合同法要を、奈良支局の記者として、取材された方だった。そのときはお出会いをしていないが、深い縁を感じたのだった。

ともかくひとつひとつの縁をおろそかにせず、丁寧に、細やかに、誠意を持って生きて行くとがいちばん大事なのだと思った。

写真はもと山上本堂の根本行者と言われる
吉野山山本氏所蔵の役行者像。

蔵王供正行17日~19日目 「懺悔」

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「懺悔」

蔵王供正行17日目(5月17日)。快晴。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第33座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第34座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
    
    参拝者1名。
    今日はずっと随喜してくれていた息子が所用で留守のため、
    神戸から助法に利心さんにきていただく。
    少し日程的にこなれてきたので、初めて境内を出て、近くの
    鎮守さままで、お参りに。久しぶりに戸外を40分ほど歩いた。

蔵王供正行18日目(5月18日)。雨のち曇り。
日程同じ。35座、36座修法

    参拝者2名。
    護摩に併せて、20年来の盟友徳永宗会議長が行見舞いに来山。
    元気になります。
    もう一人は大阪からお見えになった善通寺派のお坊様でした。

蔵王供正行19日目(5月19日)。快晴。
日程同じ。37座、38座修法

    参拝者5名。
    毎月19日は脳天さまのご縁日。

    林南院でもこの日は毎月の朝に護摩。
    今日は蔵王供修行中のため、午後1時の護摩で月例護摩供もかねて修法。
    助法者もいつものみなさんに来て頂く。
    弟子の界道くんに吉野から来てもらい、荒野神供をお願いする。
    またNHKのこころの時代・ラジオ深夜便を聞いて、わざわざ茨城県から
    お尋ねいただいた方がありました。

    茨城県は遠いなあ…。NHK恐るべし。

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「懺悔」

・・・入峰修行では、修行者は声を合わせて山坂に来るたびに懺悔懺悔(さんげさんげ)、六根清浄(ろっこんしょうじょう)と唱えながら足を進めます。

体の芯から声を出していきます。声を出して歩いていくことで、次第に余計なことが消えていき、なにも考えられなくなります。頭も空っぽになっていくのです。

「懺悔」は「さんげ」と仏教では読みます。キリスト教の「懺悔(ざんげ)とは、同じ字句ですが、仏典には「ただ懺悔の力のみ、よく積罪を滅す」と示されています。

「あらたむるにおそきことなし」です。生きていくとは、二度と履み行うまいと、仏の前に頭を垂れなければならないことのいかに多いことか、そのことに気づかされます。山を歩いていると、まことに懺悔懺悔の連続なのです。このように、身をもって懺悔し、自己を見つめていくことが、すなわち身心を清浄にしていくことになるのです。

私は、そもそも懺悔こそが宗教心の基本ではないかと思います。罪悪深重のおのれに目覚めることこそが、慈悲の心をつちかい、広く人々の幸せを願う生き方になるのだと思います。それを身体から実感させていただく入峰修行は、まことにありがたいと感じます。
~拙著『体を使って心をおさめる 修験道入門』より

上記のごとく、拙著に記したとおり、山の行はまさに懺悔行・・・。

そして里の行もまた懺悔の修行である。拝めば拝むほど、今までの己と向き合うことになる。ご本尊と向き合っているのだが、ご本尊を思う前に、自らに向かってしまう。妄念とともに、深く懺悔がわき出てくるのだ。

化他行としてはじめた蔵王供であるが、懺悔によって、自利利他円満でなければ、成就もないと思う日々である。

写真は大先達をつとめていた頃の、金峯山寺大峯奥駈修行

 蔵王供正行16日目 「蔵王権現のお力」

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「蔵王権現のお力」

蔵王供正行16日目(5月16日)。雨のち曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時40分、第31座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 

9時、第32座目蔵王権現供養法修法      於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂

    
    参拝者0名。

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「蔵王権現のお力」

私は今、蔵王権現さまを拝む日々である。ひたすら、権現様ととにもある。

蔵王権現供養法道場観に曰く・・・
「・・・釈迦・千手観音・弥勒三佛は即ち藏王一軆の身口意の三密也。濁世剛強の衆生を度せんが為に三佛冥會して変じてウン字と成る。
字變じて三鈷の杵と成る。杵變じて金剛藏王と成る。身は青黒色にして忿怒の相を顕し、頭上に三鈷の冠を戴き、左の手、剣印を作し、腰の辺に安んず。是れ地魔を降伏して国土を鎮護することを表す。
右の手に三鈷の杵を執って打つ勢いをなす。是れ天魔を調伏して佛法を護持することを示す。面上に三眼有り、此の三眼、三障四魔の闇を照らすことを表す。
左の足に盤石を踏むことは國土の災難を鎮め、無明の盤礴を流動せしめず。右の足に虚空を踏むことは、曜宿の障を破し、法性の大空に住するの相なり。
無量の火光を放って障難を焚焼し、国土を守護し正法を擁護す。
金剛部の聖衆、併せて勝手子守若宮王子三十八所、佐抛金精天満、八王子牛頭等、金峯山内の諸神、左右前後に圍繞せり。」

いま、我が国は国難のときを迎えていると言ってもいいだろう。

東日本大震災以来、打ち続く天変地異・・・。原発事故の終息もされぬまま、気候不順や様々な問題に国内の不安は広がる一方、中国、朝鮮との外交は閉塞状態で、一触即発ともいえる状況にある。国防論議が大きく揺れ動く中、政府は内憂外患の極みにあるとさえ思える。

まさに「右の手に三鈷の杵を執って打つ勢いをなす。是れ天魔を調伏して佛法を護持することを示す。面上に三眼有り、此の三眼、三障四魔の闇を照らすことを表す。左の足に盤石を踏むことは國土の災難を鎮め、無明の盤礴を流動せしめず。右の足に虚空を踏むことは、曜宿の障を破し、法性の大空に住するの相也。無量の火光を放って障難を焚焼し、國土を守護し正法を擁護す。」と示された蔵王権現のお力が必要とされていると思えてならない。

今回の蔵王供百座修行では、千願祈祷の願を立てたが、施主個別のご祈願ともに、「天下泰平ー世界平和」「万民安楽」「国土安穏」「風雨順時」「五穀豊穣」「天変地異封じ」を先に祈念申し上げ、ひたすら行じ続けている。

内憂外患というなら、国だけではなく、個々人にも当てはまるかも知れない。我が身を振り返っても、まさに内憂外患。権現様におすがりする以外にないと思い、今日も一日、拝むのみである。

写真は金峯山寺蔵王堂所蔵蔵王権現立像。

蔵王供正行15日目 「休酒・・・」

「休酒・・・」

蔵王供正行15日目(5月15日)。晴のち曇り。

今日の一日。

5時に起床。
5時半、第29座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法       於本堂 

9時、第30座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行            於風呂場
13時、法楽護摩供修法        於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦     於本堂
    参拝者2名。

****************

「休酒・・・」

蔵王供も今日で30座目を終えた。もうすっかり、作法は身についた感があるが、毎日、午前9時からの、2座目が途中でときどき猛烈に眠くなる。今日はさほどではなかったが、昨日はなんどか、座から下りようかと思うほど、睡魔に襲われた。作法が身について、会得出来る分、緊張感を保つことが肝要となる。まだ先は長いのだし・・・。

さて、行中ではあるが、今日はお酒の話。

私はお酒が飲める方だ。というか、人よりたくさん飲むし、強いと思う。めったに潰れることはない。お酒の種類はだいたいなんでも飲む。ビール、日本酒、ワイン、焼酎・・・。昨秋からはマッサンがマイブームだったので、10年ぶりくらいにウイスキー党になって、よく飲んだ。今回の修行も、28日からの前行に入る直前の、4月26日の夜まで飲んでいた。

しかし、一旦修行に入ると、ぴちっと止められる。ま、当たり前なのだが・・・。少しづつ減らして、などというような柔な人間ではない。止めるとなったら、ぴたっと止められる。一年365日、ほぼ毎日のように飲んでいたが、行なので、止めたら止めたで未練はない。別火坊にて別火精進はしているが、水行やトイレで本宅に入ると、もうそこら中に、ウイスキーやビールやお酒が置かれている。でも、もう止めて半月を超えるが、それらを見ても飲みたいとは全然思わないのである。

さすがに半月を超えて、飲んでいないので、肝臓くんが昨日あたりから、「生き返りました!」と言っているように実感する。一昨年からお世話になっている漢方医の名医から、このまま、今までのような生活をしていると必ず死にますよと、言われ続けてきたので、宗務総長離職と、お行入りは、かねてからの先生とのお約束でもあった。「70歳の田中利典」に会うためには、生活を変えないとだめだと言われているのである。

とはいえ、行があければ飲むだろうから、禁酒というより、休酒くらいなものである。

ただ、今回の修行を契機に、若いときのような飲み方ではなく、漢方医の先生のおしえどおりに、大いにわきまえて、お酒との心得た付き合い方が出来るようになりたいものだ。ま、行明けのことだから、まだだいぶ先の話にはなるが・・・。

ともかく今は目の前の一日を大事にしよう。

参拝者は地元の方一人と、ネットで調べてわざわざ神戸からおいでになった方の2名。

蔵王供正行14日目 「念ずれば花開く・・・」

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「念ずれば花開く・・・」

蔵王供正行14日目(5月14日)。晴のち曇り。

今日の一日。

5時前に起床。
5時半、第27座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法       於本堂 

9時、第28座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法      於本堂

12時半、水行            於風呂場
13時、法楽護摩供修法        於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦     於本堂
    参拝者0名。

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「念ずれば花開く・・・」

いよいよ今日は誰もおいでにならない日となった。(^_^;)

さて、私の自坊・林南院は父が開山で、昭和48年に田中家の自宅を建て替えて、建立なった。建立時に、少し総代と意見が合わず、宗教法人の認可は私が第2世住職として晋山した平成15年だった。もちろん、金峯山修験本宗の末寺として認証を得た。今年で開山42年である。

実は宗教法人認証の2年前に、父は行年86才で他界している。この年は私が金峯山寺執行長と金峯山修験本宗の宗務総長に就任した年で、以来、金峯山寺と林南院を掛け持ちでやってきたが、実際には多忙が続く中で、ここ数年はほとんど無住のようなことになっていた。還暦を汐に、宗務総長を下りて自坊に帰ってきたのも、自坊再建という目的がそのひとつである。今、入行している「蔵王供千願祈祷行」も自坊再建の、きっかけになればという思いもある。

しかし現実はなかなかそうは簡単にはいかないというのが、実感である。床は抜けているし、柱は傾いているし、第一、信者様が往時の3割にも満たない。

父は現役時代、年間1100人くらいの人の相談にのり、地鎮祭や家祈祷などは、1年で100軒ちかくは回っていた。それが近年は私が金峯山寺の仕事を中心に多忙なこともあって、自坊で会う人は100名を切り、出張も10軒行くか行かないかになっていた。そんな私が突如帰って来たからといって、人が戻ってくれるわけでもないし、第一、父の代の信者さんはもうほとんど代替わりをしている。そもそも檀家寺とちがって、信者寺は親子代々で継承されておいでになる方は限られている。

ま、いろんな意味で私の中に、自分の人生に対して自己矛盾もある。そこも含めて、今は蔵王権現様を真剣に拝むこと以外ない、と思って、誰もおいでにならない今日の一日を行じた。

坂村真民さんの言う「念ずれば花開く」でありたいものである。

写真は今日の護摩と長男長女とのスリーショット。護摩は参拝の方がないので、実家に帰っていた長女が随喜した。

蔵王供正行13日目  「恩師のお出まし・・・」

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「恩師のお出まし・・・」

蔵王供正行13日目(5月13日)。快晴。

今日の一日。

5時前に起床。
5時半、第25座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第26座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    参拝者2名。

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「恩師のお出まし・・・」

今日もとてもいい天気でした。

参拝者は二人。おひとりは初めての方で、もうお一人は、以前から、紀伊山地三霊場会議のHPや私の個人サイト「役行者ファン倶楽部」の運営をお願いしているO女史でした。三田から遠路有り難うございました。

護摩のあと、少しお話をさせていただいて、お二人がお帰りになった直後に、なんと、生涯の恩師である淺田先生が突如、お出ましいただきました。お忙しい中、本当に恐縮でした。

淺田先生は龍谷大学と叡山学院でお世話になり、その後も、金峯山寺の吉野学林に、講師でおいでいただいたり、学校を卒業後もずっと懇意にしていただき、あまつさえ、先生の龍谷大学最後の生徒として、愚息もお世話になったという、私たちにとって親子二代にわたる大恩人先生です。

先日の出演したEテレ「こころの時代」を、南都の西山唐招提寺宗務長のご子息さんなど、龍大の教え子たちと一緒に見たと言って、行見舞いにおいでいただいたのでした。

愚息も恐縮しっぱなし。でもとても有り難いひとときでした。

「頑張りや」と言って、風のように、愛車レクサスでお帰りになりました。

写真は今日のお護摩。
権現様が護摩の火の中にお入りになっています。

再掲載 【林南院 化他行蔵王供千願祈祷勧進 のご案内】

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【林南院 化他行蔵王供千願祈祷勧進 のご案内】

私事ながら、本年で小生は還暦を迎え、また総本山金峯山寺の宗務総長職を担って15年の節目を迎えますが、この機を汐に、今年5月1日より50日間の、自坊での参籠修行を発心し、現在入行中です。

実は私は過去、20代、30代の終わりに2度にわたって、自坊での参籠護摩修行を行じ、「一千座護摩供」は30代の終わりでした。

ところが40代の終わりは本山での総長職を担っていた関係で、思うような修行が出来ませんでしたが、本年3月末で、その職も辞して自坊に戻りました。

そこで、20年ぶりに自坊での護摩供修行と、「化他(けた)行・蔵王権現供養法(蔵王供)百座千願祈祷」を発願させていただいたのです。

修験道の教えでは「山の行より里の行」といいますが、このたびの蔵王供は自分のためではなく、山で得た力をまさに里の人々に向かわしめ、うち続く天変地異封じや、人々の安寧を祈るとともに、ご縁ある方々の祈願成就を祈祷させていただく「里の修行」として発願しました。「千願」とはあまねくという意味で、目標としています。

つきましては、蔵王供修法での「千願祈祷」の受付と、護摩供添え護摩木の勧進を募集させてもらっております。現在も、申し込み受付中です。どなたでもお申し込みいただけますのでよろしくお願いいたします。

◇林南院 化他行蔵王供千願祈祷 勧進要項◇

・修行期間
 5月1日より6月19日 (百座修法します)

・祈願志納金
 一願につき1万円(お一人さま、何口でも申し受けます)

・祈願用紙
 専用の祈願用紙があります。
 *必要な方は案内書と用紙を郵送にてお送りします。
 ーお申し込みは電話またはファックス、及びメール( yosino32@gmail.com )にて。
  郵送にて申込書を返送します。
  また申込み用紙のコピーでも申し受けます。

・申し込み方法
 祈願用紙にご記入の上、同封の返信封筒にて当山まで返送下さい。ファックス、メールでも受付は可能です。

・申し込み期限
 入行日の関係上、当初、5月30日とさせて頂きましたが、6月19日の満行直前まで、延長して受け付けています。

・入金方法
 ご入金は郵送またはご案内書に同封する振替用紙を利用下さい。

・祈願札のお届け
 祈願終了後に、随時、郵送にてお届けします。

なお、期間中、蔵王供の直接参拝は出来ませんが、毎日午後一時から林南院脳天堂にて、長日祈願護摩供(約五十分)を修法します。是非、護摩供に随喜ご参拝下さい。
また前日までに連絡をいただけば、ご希望の日にご祈願をして、その日の午後の法楽護摩に参拝していただけます。
護摩供終了後には、ご予約いただければ、毎日、個別相談指導や面談もさせていただいています。

「化他行蔵王供千願祈祷」成就のために、なにとぞ多くの方々のお力添えご協力ご広宣のほどよろしくお願い申しあげます。 合掌

平成27年5月吉日
 大容山林南院住職 田中利典
 蔵王供勧進事務局 河内利心
 東京行者講 講長 伊藤裕典

住 所:京都府綾部市渕垣町林の下二十一番地
マップ:http://urx.nu/j3b9

TEL 0773-42-4595
FAX 0773-42-8969

*写真は奈良の写真家野本暉房氏撮影

蔵王供正行12日目(5月12日)  「高野山と吉野山」

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「高野山と吉野山」

蔵王供正行12日目(5月12日)。晴れのち曇り。

今日の一日。

5時前に起床。
5時半、第22座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第23座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    参拝者3名。

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「高野山と吉野山」

4月28日に前行入り、そして5月1日に正行に入ったが、入行以来、すごくよい天気が続いていた。行入り前の4月はずっと雨ばかりだったのだが、不思議なくらい天気続きだ。

実は22年前の、「一千座護摩供修行」のときは、連日大雨だった。約120日間の修行だったが、半分以上は雨、しかも大雨の日が多かった。覚えておられるだろうか?その年は日照不足と雨害で、お米が取れず、タイ米などを緊急輸入した年だった。米騒動とさえ起こったような悪天候の日々だったが、それに比べると今回は入行以来、スカッパレの上天気続きで、怖いくらいであった。で、今日から下り坂。雨、風も出てきた。台風のせいらしい・・・。

さて、この春は高野山開創1200年の慶賀の年で、4月から高野山では慶讃法要が連日、大々的に行われている。実は昨日は、金峯山寺が法要をお勤めする当番の日であった。今日だったら、天候が心配だったが・・・。しかし、昨日は快晴の元に、天気男の五條執行長以下、金峯山寺配下の山伏らが全国から集い、史上初めて、高野山で大護摩を修法したのである。昨日でよかったなあ。

高野と吉野とは近年ほとんど行き来はなかった。行き来が出来たのは、前の内局と私達がとても仲良くしていただくようになったからである。私が提唱した世界遺産・紀伊山地三霊場会議では松長高野山座主猊下に総裁職をお願いし、6年にわたりお勤めいただいたし、なんといっても、同じ綾部出身の、当時、金剛峯寺教学部長だった村上保壽先生と、私とで、高野山開創の道プロジェクトを成し遂げたことなど、歴史的な事業をともにさせていただいたのである。そういう事業を通じて、山同士の絆が出来たのであった。

ところが面白いことに、その直接の当事者同士である、私も村上さんも、そして松長猊下も退任をしていて、昨日の歴史的な法会には参加していない。両山にとって意義深い一日だったに違いないが、時代は動き、ことは、新しい人たちに受け継がれていくのである。

私はただ黙々と蔵王権現様に祈願の修法をつとめている。でも、ご本尊は全部みておられるに違いない、と思っている。

今日の参拝者は3名。まだかすれ声だが、お蔭様で風邪はほぼなおりました。

写真は今日の私の顔です。だいぶおひげが伸びました

蔵王供正行11日目 「被災地への思いを込めて・・・」

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「被災地への思いを込めて・・・」

蔵王供正行11日目(5月11日)。晴れ。

今日の一日。

5時前に起床。
5時半、第21座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第22座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    参拝者0名。

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「被災地への思いを込めて・・・」

5月1日入行以来、ノー参拝者デーなしが続いていましたが、とうとう11日目にして、その日がやってきました。ゲストなしで、私と息子で、お護摩のひとときを過ごしたのです。今日は、いつもやかましい自坊の前の鉄工所も休みで、鶯の谷渡りの涼やかな鳴き声がこだまするなか、とても気持ちのよい護摩だったのですが・・・。

でも終わってから2人がおいでになりましたので、ノー参拝者デーともいえないかも・・・。

さて今日は11日。4年前の3月11日は、東日本大震災でした。11日というと、思い出します。いえ、忘れてはいけない日なのだと思っています。

私は4年前、大震災の翌日3月12日から一年間、地震の起きた午後2時46分に、慰霊と鎮魂と、そしてこれ以上大きな地震が起きないようにと願って、東に向かい、お祈りを続けました。地下鉄の中であろうと、ビル中での会議であろうと、その時間には一日も欠かさずにお祈りをしたのでした。そしてまる一年が過ぎた平成24年の3月12日に、私ははじめて東北の被災地に立ったのでした。今でも南三陸や石巻で目にした、あの茫茫と広がる被災地の惨状が目に焼き付いて離れません。

このときの東北巡礼は、その後、石巻の鰹節工場の復興支援や、某水産工場地で開催させていただいた、慰霊大護摩供厳修に繋がって行きました。

東北に確たる拠点を持たない金峯山寺としては、現地での活動は、阪神淡路大震災のときと違って、思うに任せぬ動きしか出来なかったのが正直な感想でした。いろいろ、東北の方にも、お世話にもなりました。

今日の護摩も、そういう被災地への思いを込めて、修法させていただいたのでした。

写真は今日のお護摩。家内の撮影です。

 蔵王供正行10日目 「チベットの平安なることを祈る 欠食の日」

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「チベットの平安なることを祈る 欠食の日」

蔵王供正行10日目(5月10日)。晴れのち曇り。

今日の一日。

5時前に起床。
5時半、第19座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第20座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    参拝者1名。

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「チベットの平安なることを祈る 欠食の日」

中国に蹂躙されつづけているチベットを支援する「宗派を越えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会」(略称スーパーサンガ=SS サイトはhttp://www.supersamgha.jp/ )という会がある。7年前に結成された会であるが、私も立ち上げ当初から関わらせていただき、今も幹事を務めている。

そのSSの会の申し合わせで、毎月10日は一食をチベット支援に回そうという取り決めを行った。なんだか、みんな忘れてるみたいで、サイトにも載ってないけど・・。

私だけでもしなくてはと思っていて、忘れない限りは、毎月10日は一食を欠食して、支援募金を行っている。で、今日がその10日。いまは行中で、毎日2食しか食べていないが、その2食のうちの1食を欠食することにした。

このところ、風邪のせいで声が出ないし、微熱と咳も続いているが、もう体調はそんなに悪いわけではない。食欲もある。体重も入行初日の1日が81.6キロで、その後81.5→81.5→81.5→81.5→81.1→80.7と推移して、昨日が81.5。あまり大きな変動もないので、今日のの欠食も断行だ(そんなたいそうなものじゃないけど・・・)。

修法中の蔵王供祈祷でも、チベットに平和がもたらされることを祈願している。今回、千願祈祷を発願したが、実はまだ施主のある祈願は半分にも届いていないので、修法の中では、「世界平和」や「国土安穏」「仏法興隆」などの、公な祈願をたくさん行っている。その中の一つとして、「チベットに平和を」の祈願も行っているのである。

ところで、SSの会に私が関わったきっかけは、ちょうど、青蔵鉄道が開通する1週間前にラサの地に行き、いかにチベット人が中国から蹂躙されているかをまのあたりにしたことが遠因である。鉄道がつくまえでもそうであったのに、開通して以降は、更に中国人の乱入が続き、チベット人への迫害と弾圧の度合いは大きくなっている。

中国の文化大革命の、ひとつの災禍ともいえるチベット国の自治を崩壊させるに至る中国共産党の侵攻。ダライ・ラマ14世はチベット仏教への弾圧によって、ラサのポタラ宮を追われ、ダラムサラに亡命政府を設立されるのに至ったのであるが、それはまるで、中国版文化大革命ともいえる我が国の、明治初年に起きた神仏分離政策で、国によって解体された修験道の姿と重なるものがある。・・・ということで、今日は一食欠食したわけです。お腹が減ったなあ。意地汚い自分と向き合うと、えらそうにチベットのことを言うのが恥ずかしいです。

なお、本日の護摩には吉野から某執行が行見舞いに来山して、随喜してくれた。お蔭で、参拝者なしを覚悟して入った今回の修行であるが、いまのところ「ノー参拝デー」は一度もない。

千願祈祷の受付も行っている。当日でのご祈祷は難しいですが、前日までに連絡いただければ、おいでになる日にご祈願を申し受けて、祈祷ののち、祈祷札もお渡しできますので・・・。

祈祷申し込みの詳細は→ http://yosino32.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-a85c.html

ちなみに写真は今朝の朝ご飯。ま、行中の食事はこんなものです。

蔵王供正行9日目 「沐浴身体 当願衆生 身心清浄 内外無垢」

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「沐浴身体 当願衆生 身心清浄 内外無垢」

蔵王供正行9日目(5月9日)。晴れのち曇り。

今日の一日。

5時前に起床。
5時半、第17座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第18座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    参拝者2名。

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「沐浴身体 当願衆生 身心清浄 内外無垢」

昨日の日記にも書いたように私は30才のときに、最初の参籠修行を自坊の脳天堂で行い、護摩焚きを49日間行った。実は18才で、四度加行という正式な密教行者にとっては基本中の基本となる経歴行階の修行を果たし、護摩を修法する資格と技術を取得したのだが、その後の学生生活などを通じて、すっかり護摩の作法など忘れていたのが本当のところ。26才で金峯山寺に入寺するが、最初は小僧みたいなものだから、そう毎日護摩を焚くなどというようなことがなかったので、たいそう頼りない修験僧だった。

それで、30才の時に一念発起して、一時、自坊に戻り、護摩行を49日を行ったのである。そして、そのお行以来、私は護摩を修法するときは必ずその前に、水垢離を取るようになった。いちいち滝に入るとなどというようなたいそうなことではなく、その所々のお風呂場で水をかぶって体を清める程度ではある。でも、もうこの決め事は30年あまり続けていて、それこそ、東京に行こうが、九州に行こうが、護摩を修法するときは必ず水行を行じている。死ぬまで続けるというような覚悟もないし、水行が出来なくなったら護摩をやめるなどというような決意なども持ってはいない。要は私自身の問題として、いまは水行をしているということだ。

「沐浴身体 当願衆生 身心清浄 内外無垢・・・」と唱えて沐浴するのが行中の定めである。もちろん今回の蔵王供祈願法楽の護摩でも、毎日水を浴びている。一昨日から風邪のせいでかなりへばっている。昨日今日は声が全く出なかった。それでも、水だけは外せない。ハレとケを行き来するという、私にとっての通過儀礼であり、日常の俗なるケを落として、聖なるハレの護摩行に入るのである。ま、この時期の水行は一番楽ではあるが・・・。

なお、林南院の脳天堂の護摩は、ふだん、一般の方はお堂の外からお参りいただくが、今回の化他行蔵王供法楽護摩では人数さえゆるせば、堂内に入って、護摩の随喜をしていただいている。かの最福寺・池口恵観和尚が、清原や金本などの有名野球選手をお参りさせて、「護摩行」というパフォーマンスが一般化した感があるが、まあ、いわばあの護摩行体験に近い感じでお参りいただいている。ただし、リングサイドだからといって、某寺のような高額な志納金などは要求しない、・・・というか無料である。

今日は東京から来山いただいた船田さんと、弘法トレランのトークセッションで話を聞いて吹田から電車で尋ねてこられたYさんに随喜していただいた。船田さんは神仏霊場会や金峯山寺の公式サイト制作を担当していただいてとても親しいので、今日の護摩でも、映像取材をやってもらった。そのうち、どこかで紹介してくれるとのお話である。

みなさんもよろしければ、護摩開始の午後1時より少し前に御来山になれば、ご随喜していただけます。但し、これからの時期、かなり熱いですよ。

今日の写真はまたまた4度目の、野本さんの写真です。
名付けて「行者と炎と祈祷札」でしょうか。

蔵王供正行8日 「修行をさせていただく悦び」

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「修行をさせていただく悦び」

蔵王供正行8日(5月8日)。快晴。

今日の一日。ちなみに昨日の就寝は10時、ただし午前1時まで寝付けず。
咳が止まらない。

5時に起床。
5時半、第15座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第16座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    参拝者2名。

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「修行をさせていただく悦び」

今日は遠く大和郡山から西村幸祐さんご夫妻が護摩のお参りに来て頂いた。

初日以来の参拝連続記録がまだ途切れていない。ただ、3日の月例護摩を除くと全部、自坊林南院の信者さん以外の方で、私が吉野や奈良でお世話になった繋がりの方や、例のEテレをみて来た方など、はじめて林南院においでになる方ばかりである。西村さんはFBのお友達で、切り絵作家としてこの2月に作品展をお開きになってお出会いしたばかりの方である。遠路、有り難いことである。

しかし林南院は終わっているよなあ。まあ10年以上、開店休業状態だったし、父の代の信者様はほとんどが代替わりをしているし、当然と言えば当然です。

ところで、今回の蔵王供百座修行は私にとって、自発的に行う3回目の参籠行となっています。

最初は昭和60年ー30才の時でした。自坊の脳天堂で、49日間、護摩を焚いた。
2度目は平成5年ー38才の時の、一千座護摩供修行。同じく自坊の脳天堂に籠もって、一日9回の護摩を1000回焚き続けた。この時は前行を入れて、120日間籠もったのである。最後の100座は五穀断ち・塩断ちもした。

そして3度目が今回の「化他行蔵王供百座千願祈祷行」。朝から2座の蔵王権現供養法修法と、午後からは法楽の護摩を一座焚くという毎日である。

考えてみれば、こういうように、勝手に自分で発願して、一定期間籠もって行ずることが出来る環境というのは、あるようであまりないものである。思えば思うほど、有り難いことだと思う。

今回は、宗務総長の離職がきっかけではあったが、還暦を迎え、いままでの人生をリセットさせるまたとないチャンスであるし、また、そういう我が儘な私を支えてくれる周りの人たちに恵まれている幸せも大いに感じる。家族にも感謝している。身を惜しまずに、助法をしてくれるお弟子さんや多くの方々にも感謝している。もちろん何もしてくれない人もいるので、お弟子さんといってもいろいろではありますが・・・(^_^;)

足かけ15年の総長職、そして34年という人生の半分以上を過ごした金峯山寺生活を離れるのに、様々な思いがよぎったのは間違いないが、ここしばらくの忙しさの中で、それを思い煩う間もなく、気がつけば修行三昧の日々に身を置いていたのである。

まさに「修行させていただく悦び」の毎日を送っている。

みなさんに感謝である。そして、「みんな大好き」です。

写真は、今日、西村さんにいただいた切り絵の写真と、正行8日目ー今日の私の同じポーズを試みた自撮り写真。

蔵王供正行7日 「朝題目夕念仏」

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「朝題目夕念仏」

蔵王供正行7日(5月7日)。晴れ。

今日の一日。ちなみに昨日の就寝は風邪のため、9時。

でも結局12時半には目が覚めて、なかなか寝られず。

風邪は回復。

5時前に起床。
5時半、第13座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第14座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    参拝者1名。

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「朝題目夕念仏」

Eテレをみて、護摩の時間に尋ねてきた舞鶴の方があった。本物がいる!って、なんかパンダをみたような感動をされてしまった。ぎりぎりにおいでになったので、今日はノー参拝デーになるかなあと思っていたが、ならなかった。有り難い。

前行のときから法楽として、一座目が法華懺法、二座目が例時作法という、天台法儀のお経をお唱えしている。正行も同様である。

私が僧侶になってお経を覚えたのは比叡山高校での山家寮という、天台宗の宗内生が寄宿する寮での手ほどきだった。天台宗では「朝題目、夕念仏」といって、朝に法華経を読みお、夕方に阿弥陀経と唱えるというのが基本である。

法華懺法というのは法華経を中心に作法が整えられた法式。例時作法というのは阿弥陀経を中心に整えられた法式。その法華懺法と例時作法を毎日お唱えするのは基本中の基本となる。しかし正直にいうと、私がこんなに、この両法儀を毎日お唱えするのは四度加行履修のとき以来かもしれない。四度加行は18才で履修したので、40年以上前のことである。加えて、脳天堂での蔵王供直後の法楽は天台常用声明の基本である三礼と如来唄を唱えているが、本当に一から基本に返った修行三昧となっている。

自坊での勤行はついついおろそかにしてきた私だけに、基本から、学び直しをしている。幸い昨年、叡山学院で天台勤行の手ほどきをわずかながらでも受けてきた子息が、毎座、随喜していて、一緒に唱えさせていただいている。これも有り難いことである。

化他行というが、自分の学びも多い修行である。自利利他円満になれば、なお素晴らしい。

写真は3日連続、野本さんの写真。護摩で随喜して、経頭をつとめる子息である。髪が長いから、浄土真宗のお坊さんみたいだけど (^_^;)

蔵王供正行6日目 「行不退」

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「行不退」

蔵王供正行6日目(5月6日)。晴ときどき曇り。

今日の一日。ちなみに昨日の就寝は12時。

5時前に起床。
5時半、第11座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第12座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    お参りの方をお加持。のち、お二人と面談。

***************

「行不退」

行不退というのは修行に入れば退くことがない、という意味である。どんな修行にしろ、日時を定めて入った以上は途中で止められないのだ。それ故、行中の病気や怪我には充分気をつけなければならない。

昨日も書いたように、行入り前後の忙しさの疲れがちょっと出てきていたが、今朝は朝から熱が出た。常の平温が低めなので、37度を超えるとかなり辛い。朝夕の寒暖が大きいせいもあって、少々風邪を引いたらしい。もちろん、だからと言って休めない。辛い体にむち打っての、修行が続く。早く体調を整えなければ・・・。

今日も参拝の方があった。昨日来た方が別の方をお連れになってきた。入行以来、午後の護摩は、まだ参拝者なしの日がない。予想外です。けっこう息子と二人だけの護摩を考えていたのですが・・・・。息子もなれぬ経頭ながら、一生懸命行じている。

私もそうだが、彼にとっても、とてもよいお行になっている。

今日は早めに寝て、風邪からの回復を第一にしたい。

写真は一昨日撮っていただいた野本さんの別角度からの、お護摩の写真です。

蔵王供正行第5日 「墨書」

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蔵王供正行第5日ー5月5日。こどもの日。快晴。

今日の一日。ちなみに昨日の就寝も11時。

5時前に起床。
5時半、第9座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第10座眼蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
    その後、護摩に参拝においでになった方と面談する。
    友人が2日のEテレをみて、同伴しておいでになったのだった。

*******************

「墨書」

今から22年前に、今回と同じ行者坊に籠もって、前行を入れると120日間の「一千座護摩供」を行じた。さすがにこの22年という歳月は短くない。その間に、体も気力もやはり衰えてきたのを、日々、実感する。まあ、齢を経たからこそ、わかる境地もあるに違いない・・・などと、自分を慰めて、ひたすら今は拝ませていただいている。

入行前後のスケジュールを考えると、60にしては、けっこうスーパーサイヤ人ですけど。

日記を書き終えて、このあとの日課は、入浴の前に、翌日の蔵王供祈願者の特別祈祷のお札と護摩木を墨書している。毎夜の日課である。実は、普段は、つい、簡便な筆ペンで字を書いているが、今回の特別祈願札はちゃんと自分で筆書きをしているのだ。ま、自慢するほどのことではないか(笑)。でも、残念なのは悪筆であるから、見栄えが悪い。書いててめげる。

お札、受けていただいた方、本当にすいません。下手な字をお許し下さい。心を込めて墨書しているので、お許し下さい。

で、この墨書、けっこう時間がかかる。蔵王供祈願の方の護摩木も同時に書かせていただいているので、うっかりすると1時間半から2時間かかったりする。就寝時間が遅くなるのはそのせいもある。けっこう夜もいそがしいのだ。

なお千座祈願の受付は当初4月31日と案内しましたが、事務の準備不足から、案内が不十分で方々からおしかりもうけました。ずいぶんマメにご案内をしたつもりですが、大事な方や出す予定でいた方で漏れた方が少しありました。ここ3年ほど、年賀状の整理を怠ったせいもあります。戻りもかなりありました。反省をしています。

ともかく、千願まではまだまだ長い道のり。祈願の受付もしばらく継続しておりますので、よろしくお願いいたします。

ちなみに写真は昨日来て頂いた奈良の野本さんの撮影。さすがはプロですねえ。私もちょっとかっこよく見えます。

蔵王供正行第4日・・・「時間がない」

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蔵王供正行第4日ー5月4日。曇り一時雨。

今日の一日。ちなみに昨日の就寝は11時。

5時前に起床。
5時半、第7座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第8座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、水行           於風呂場
13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂

****************

「時間がない・・・」

日程だけを追うと、14時の法楽を終えると、就寝まで随分時間がある。いや、あるはずで予定を組んだ。だが、前行の段階からずっと時間に追われてきた。行者坊の設えや、蔵王供祈願申込者の事務処理が全く出来ないまま、行に突入したのが原因である。

というか、2,3月の段階で、本山での法務や宗務を退いて、引っ越しと行の準備に取りかかるつもりだったが、それが出来なかったわけで、そのツケが回って来ている。

本格的な離職準備の段階に入ってから、この夏に東京日本橋で開催する三井記念館修験道展覧会開催の大綱が決まり、急きょ、出演したあべのハルカスでの弘法大師トレランシンポのほか、田中利典著作パネル写真展開催はじめNHKのEテレ番組取材など新た企画や仕事もに入ったりして、まあ、離職直前までバタバタだったのだ。

そのバタバタで修行に突入したせいか、正行4日目にして、少々疲れが出てきた。体を整えずに入行したのだから、当然であろう。まあ、もう少し修行が進めば、体も心も、修行三昧のリズムに馴染んでいくし、事務処理などの雑務も一段落すると思う。人の関わりのなかのことなので、なかなか修行にのみは専心できないものである。しかし、今回の修行は「山の行より里の行」なのだから、そこを大事にしたいと思う。

午後の護摩では東京や茅ヶ崎在住の方をはじめ、遠来の方など6名のお参りがあり、そういう関わりに、元気をいただく。終わってからもEテレをみておいでになった近在の方もあった。

ながらく休眠状態だった自坊だが、このお行がきっかけで、また少し前進するのかもしれない、かな・・・。

写真は今日の護摩遠景。

蔵王供正行第3日  「NHK、恐るべし・・・」

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蔵王供正行第3日ー5月3日。晴れのち曇り。

今日の一日。ちなみに昨日の就寝は深夜1時半。どうにも寝付けなかった。

5時に起床。
5時半、第1座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第2座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

13時、法楽護摩供及び月例祭護摩を修法 於本堂
14時、脳天堂法楽           於本堂

**************

 「NHK、恐るべし・・・」

林南院は毎月3日が月例祭。行中であるが、今日3日もいつもどおりに、本堂で護摩を修法する。蔵王供法楽護摩とかねて焚いた。先月は「こころの時代」の取材があったので、少し動員して15名くらいのお参りがあったが、今月はいつもに戻り、6名ほどの参拝である。逼塞してるなあ~。

吉野から帰山してもらって弟子の界道くんに、荒野神供の修法をお願いする。行中には3度の神供が必要であるので、満行まで、もう2度来てもらうことになる。

ところで前行入行以来、ずっと凄いいい天気が続いていたが、今日からようやく下り坂。夕方から雨になった。参拝者のお話から、世の中はゴールデンウィークまっただ中で、道も混んでいるらしい。明日は雨だと出先の人はちょっと気の毒だ。

今日はわざわざ大阪から、昨日のTV「こころの時代」を見て尋ねてきた方があった。
実は昨日のEテレ「こころの時代」の再放送とは別に、朝4時からのNHK第一放送「ラジオ宅急便」でも、インタビュー部分だけを40分に編集して流れたが、あんな時間でも聞いている人があるんだ。聞いたという人から連絡があった。しかも3人である。テレビの再放送でも何人かの問い合わせがあったが、さすがNHK、というか、NHK恐るべし、だなあと思った。

昨日なかなか、寝付かなかったので、今日は早めに寝たい。修行自体はそう厳しいものではないが、寝不足はきつい。

蔵王供正行第2日 「妙音声」

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蔵王供正行第2日ー5月2日。快晴。

今日の一日。ちなみに昨日の就寝は11時半。

5時前に起床。
5時半、第1座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第2座眼蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

13時、法楽護摩供修法       於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦    於本堂
15時、新車の交通安全加持   

************

「妙音声」

 

昨日とほぼ日程だが、今日は護摩の後に信者さまの車加持を行った。

それから二人のお弟子さんが護摩の助法に来てくれて、大変助かる。太鼓も鳴った。・・・事務処理も少し落ち着いて来て、ようやく身辺の整理も出来つつある。

落ち着いて気づいたことがある。今朝の蔵王供を修法中、お堂のまわりで、鶯やキツツキや蛙やいろんな動物たちの、ささやくような声に気づいたのである。吉野住まいのころは、毎朝、春前から鶯の声に起こされるような生活だったが、自坊も又、同じように鶯のささやきが毎日聞こえていたのだ。

本宅ではわからなかったが、行中の道場で、しかも蔵王権現様と対座する供養法の中で感じたその声は、紛れもない妙音声で、大きな感動を覚えた。

9時からの修法では鶯の声に混じって、遠くで農作業をする耕耘機の音も重なり、自然と人とが、いい具合に暮らしているという環境の中で行じさせていただいているというありがたさを感じたのであった。

42年前、父が実家を建て直し、信者さんとともに建立した自坊であるが、とても素晴らしい環境にあったことを今回の修行で改めて自覚させていただいている。というか、そういうことにさえ、目が回ったいなかった自分の不徳を恥じてもいる。よい所に建っているという自覚は今までしたことがなかったのである。

といっても、田舎の片隅にある小さな堂宇である。来た方はきっと驚かれるだろうなあ。

ともかく、まだ始まったばかりの修行であるが、学びが多い。

今日はNHKEテレの「こころの時代 花に祈る山に祈る」の再放送があった。その時間は護摩の最中だったが、終わった頃、2,3の人から電話があった。爆睡したという人、感動したという人、いろいろだった。

蔵王供正行初日 「初日」

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蔵王供正行初日ー5月1日。晴。

今日の一日。

5時前に起床。 5時半、第1座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂

7時、本堂法楽・法華懺法      於本堂 

9時、第2座眼蔵王権現供養法修法    於脳天堂

10時半、本堂法楽・例時作法     於本堂

12時半、風呂場にて水行 13時、法楽採灯壇護摩供修法    於脳天堂

14時 本堂法楽・法華経読誦    於本堂

以下、作務と事務に没頭。

**************

「初日」

いよいよ始まった。 蔵王権現様をお祈りすることで、吉野と繋がっていることを自覚する。 たくさんの祈願も仰せつかっている。 権現様の元で、権現様と行者さまと生きるということを学ぶ修行でもある。

朝からの2座を終えて、午後は法楽の護摩供初座。

修行には静かに入るというので、承仕をしてくれている息子以外は、誰も随喜を伝えなかったが、奥駈仲間の行者さんが来てくれた。嬉しかった。

ところで、思いの外、連日、暑い。 22年前の千座護摩では、6月の暑さに一日9回の護摩がこたえたが、5月の初旬でこの暑さ。西向きに立っている護摩道場の中は、護摩中は60度近くなる。予想外の暑さであった。

写真は初座の護摩。

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