
「化他行蔵王供千願祈祷満行のご挨拶」
去る五月一日より自坊林南院に於いて、五十日間にわたる「化他行蔵王供千願祈祷行」に入行し、六月十九日に無事満行しました。
満行式には五條良知新管長猊下以下、有縁の人々に随喜いただきました。新管長は私の実弟。上任が六月一日ですので、管長として初めて実家に帰ってきたことになります。兄の満行祝いに、故郷に錦を飾るという、いわば当家にとっては二重の悦びともいえる記念の一日となりました。
私の父はこの綾部で生まれ、国鉄の職員をしながら、山伏の道に入り、趣味が高じて、その後、祈禱師専職になり、師匠の教会で師匠なき後二十五年間、教会長をお預かりしてから、五十九歳で自坊を建立しました。昭和四十九年のことでした。
また父は宗門の仕事にも携わり、五期十五年にわたり宗会議長も勤めました。
その父の発心により、私達兄弟もこの道に導かれることになります。小さな一宇とはいえ、父一代で成し遂げた林南院と父のこれまでの働きがあったからこその、私であり、また弟であったと思っています。
父と母は苦労し、また信者さんやお弟子さんたち有縁の人々に支えられて、ここまでの道を切り拓いてくれました。私も弟も、その軌跡の上に、今の職責や生活を得たのです。それはまた、父母にとってなによりの親孝行となった仏道の継続であり、そしてその成果としての、管長の帰山、私の満行式でした。
振り返りますと、本行の五十日間、ほとんど絶えることなく、毎日、参拝者、随喜の方々においでいただきました。奈良、大阪はいうにおよばず、福岡や東京、茨城…と、こんな不便な綾部という片田舎にわざわざ足を運んでいただいたのでした。来た方の多くが 、遠かった…と正直な感想を述べておられましたが、ホントに有り難かったし、いかにも希有な出来事でした。
「山を下りて、どうするの?」という命題を持った蔵王供修行でしたが、奇しくも父が自坊を建立した同じ歳。山の行より里の行…つまりお山で得た力を里で活かしてこその山伏修行であると心を定めて入行しました。お出ましいただいた随喜の方のお蔭で、曲がりなりにも、全う出来たと確信するとともに、遠来からの多くの方々のご参拝が、本行命題のひとつの大きな答えでもありました。
満行式には管長猊下から金峯山寺長臈職の辞令も拝受し、更なる責任も感じています。
父母に感謝、家人に感謝、そしてたくさんの有縁の方々に感謝して、化他行蔵王供満行のご挨拶と致します。合掌
~「金峯山時報7月号」加筆転載
写真は満行式の記念写真です。
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遅ればせながら、満行のご挨拶を掲載しました。
満行後のご報告を兼ねて、もう一回、FB「蔵王供千願祈祷」 http://qq5qq.info/lJBX を閉じる前に、記事を書かせていただこうと思います。
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