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再掲載「回転焼きと母」・・・今日は母の祥月命日。

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「回転焼きと母」
   ー田中利典著述を振り返る271013

今日は母の祥月命日。まる4年になる。

亡くなった年に書いた「回転焼きと母」という文章を、あやべ市民新聞に投稿して、かどやさんという回転焼き屋さんがたいへん評判になった。狭い町なのに200人くらいの方がかどやさんを訪れ、あんたええことしたなあ・・・と客さまに言われたそうで、のちのち、お店のおくさんに感謝されたという、後日談も生まれた。

過去にこのブログでも載せたことがあるが、今日は母の祥月命日ということで、母を偲んで再掲載する。よろしければお読み下さい。

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「回転焼きと母」

母が十月に亡くなり、今月末に満中陰を迎える。早いものである。
 
母は今年一月に危篤になり、医者からも余命一週間と宣告されたが、その後、治療加療のおかげで、一時期は車イスに乗って病院の食堂で食事が出来るくらいまで回復した。闘病生活九ヶ月。その間、今まで、あまり母のことに気をかけなかった息子にとって、母を病室に見舞うことで、親孝行のまねごとをさせてもらった貴重な時間だった。

少し元気になった頃、「何が食べたい?」って聞くと、「回転焼き、買ってきてんか」と言った。それから、病院に行くときは、アスパの近くにあるかどやさんの回転焼きを持参した。あまりたくさんは食べられないので、毎回、一個だけを注文したが、いつ行っても、かどやさんは面倒くさがらずに、快く、一個の回転焼きを売っていただいた。母が美味しそうに食べていたことが今でも思い出される。

お葬式の朝、回転焼きのことを思い出した。棺にいれてあげようと思い、かどやさんに寄った。普段は一個しか頼まないが、その日は母が好きだった三つの味の回転焼きを三つ全部注文した。いつも一種類の一個しか頼まないので、いぶかしく思われたのか、「今日は三つなのですね?」とお店の方に声をかけられた。「はい‥、母が好きだったので、いつも買わせていただいていました。その母が亡くなり、今日はお葬式なので、いっぱい食べさせてやろうと思って‥」というと、「お金はいらんから」と言われて、暖かい三つの回転焼きを渡していただいた。優しさに、思わず涙が出た。

母のことばかりを思ってはいられないが、でも、かどやさんの前を通るたびに、美味しそうに回転焼きをほおばっていた母の顔が思い出されて、心がちくっとする。母の思い出が嬉しくなる、かどやさんの親切に今でも感謝、である。

ーあやべ市民新聞「風声欄/2011.11掲載」より

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今日も朝から、回転焼きを仏壇にお供えしました。

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コメント

お話を読んで、涙が出ました。
静かにお祈ります…。
四年前…に産まれた息子をじっと見てしまいました…。

豆しばさん、ありがとうございます。

この記事へのコメントは終了しました。

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