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「人生あおによし⑰-世界遺産登録への道のり」

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「人生あおによし⑰」
 ~田中利典著述集271120

⑰世界遺産登録への道のり

2004年7月、吉野大峯を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」がユネスコの世界文化遺産に登録されました。これは金峯山寺にとっても、そして修験道全体にとっても大変大きな慶事でした。

私が推進活動に手を付けたのは1999年です。「日光の社寺」が世界遺産登録されたことがきっかけでした。山岳信仰の地として日光が世界遺産登録をされるという話を輪王寺塔頭の後輩から聞いて、「山岳信仰なら、うちが本家ではないか?」という思いから、すぐさま手を挙げたのでした。当初は地元吉野山の反応も鈍く、寺内も懐疑的な空気でした。それが5年足らずで実現したことには、言い出しっぺである私自身、驚きました。

日本での世界遺産登録は観光資源の開発や地域活性化に傾くきらいがあります。しかし私は活動を始めた当初から、登録がゴールではなく、平和を希求するユネスコ憲章に立脚した世界遺産の精神をどう根付かせるかを大切にしなくてはならないと考えてきました。修験道に限らず、仏教の持つ優れた世界観を発信しなくては、寺は単に葬祭仏教や観光寺院になりはて、いづれ世間から見限られてしまうという危機感もありました。

自然を尊んで神仏に祈る心を取り戻すためには、神と仏の祈りの聖地が守られ続けてきた奈良や吉野の地だからこそできることがあるはずです。登録から10年、道はまだまだ半ばですが、明治以降に日本人がなくしてきたものを見つめ直し、日本の再生に向けて皆で動き出すために発信し続けて行きたいものです。

ー本稿は平成27年11月9日から29日まで、朝日新聞奈良総局の「人生あおによし」で連載されたものを加筆転載致しました。

*************

金峯山寺時代に成し遂げた意義深い事業は沢山ありました。それは私の力というより、多くの皆様の力添えのお蔭であるし、なにより、ご本尊のお導きがあればこその、成就でした。それらの中でも、この世界遺産登録の推進活動は一番大きい成果であったとともに、その後の波及効果もまた絶大でした。

*写真は世界遺産金峯山寺蔵王堂(国宝)。世界遺産を通じて、参拝者も増え続けています。

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コメント

今も持ち続けていらっしゃる、りてんさんの情熱と、古くから多くの方々の汗と涙が染み込んだ吉野の大自然と、神仏への祈りの聖地…参拝できたら・・・感動しそうです。
昨日のお写真の頃には既に、ご本尊様はりてんさんのそばにいらしたのですね(^^)

世界的にテロが多発して悲しむ人が増え
なんとなく、神仏様(人々の良心)を世界の一部の人がないがしろにしている
感じがします。。。。
神仏様は宗教は違えどみんなの心の中に良心という形で
いるのになぁ。。。。

聖地は私にとっては良心を形として感じられる場所だと思っています。
また導師様は良心を導いて下さるかただと思っています。

外国の人々や外国の仏教の方が日本の仏教をどう感じたり
また他の宗教の方が日本の宗教をどう感じたりするのかは
私にはわからないけれど
良心はきっとどんな人に伝わるもんだと信じてます。

何百年も続く人々の良心の場所を
世界中のいろんな人にもっと感じてもらえるのはすごくいい事だと
思います。
また日本の良心を世界に持ち帰ってもらい考えてもらうきっかけになる
世界遺産登録はすごく素晴らしい事だと思います。

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