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「人生あおによし①/修験道 いまこそ出番」

「人生あおによし①/修験道 いまこそ出番」
 ~田中利典著述集271106

ちょうど昨年の今日から、朝日新聞奈良総局の名物コラム「人生あおによし」で取材していただき、全20回の連載でした。今日から再度、アップします。よろしければご覧ください。

一挙に読みたいという方は以下のサイトにアップされています。登録が必要ですが・・・。
http://www.asahi.com/area/nara/articles/list3000049.html

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皆さんは山伏というとどんな人物を思い浮かべますか。山野を駆け巡って一生を送る行者でしょうか。あるいは俗人の願いに応じて加持祈祷(きとう)をする姿でしょうか。実は、そのいずれもが山伏の大切な修行であり実態と言えます。

私はいま山伏の寺・吉野の金峯山寺(きんぷせんじ)で宗務総長という実務を束ねる役職にあり、また京都府下にある自坊でも住職として加持祈祷や信者さんの相談事に携わっています。さらに講演や会議で各地を回ることも多く、いわば典型的な「里山伏」といってよいでしょう。

しかし毎年何回か大峯山中に入って修行をすることは欠かしたことがありません。いや忙しいのを理由に山に入ることが少なくなると体の調子を崩したりします。若いころは過酷な山修行は体に悪いと思っていましたが、過剰な負荷を掛けることで逆に体が目覚めるのかもしれません。

人々の悩みや願いに対応するには、厳しい山修行で培う法力が必要です。ですが里で悩みを持った人にばかり相対していると、自分自身の気力が奪われ、力がすり減ってきます。だから自ら邪気を払い、気の濁りをリセットして再び法力を高める山修行が必要になるのです。常に山の修行と里の行を循環する、それが山伏の活動なのです。

修験道は一言で言えば山の宗教、山伏の宗教です。難しく言えば日本古来の山岳信仰に神道や外来の仏教、道教、陰陽道などが混淆(こんこう)して成立した日本固有の民俗宗教と言えます。山を歩く、神や仏に礼拝する、滝に打たれる、瞑想(めいそう)する、これ全てが山伏の修行であり、体を使った実践修行です。実修実験の道が修験道。理屈ではなく五体を通して実際の感覚を体得し、それによって心を高めて覚(さと)りを目指す宗教なのです。

吉野から熊野にかけて紀伊半島の中心を背骨のように貫くのが霊峰大峯山脈。修験道の開祖・役行者によって開かれた最高にして最大の根本道場とされています。

大峯山山上ケ岳は今も女人禁制の霊山として知られます。その一帯を含む、北端の吉野山から南端の熊野本宮に至るまで1500メートル級の山々が続く山脈を尊称して大峯山と呼称します。修験道の聖地中の聖地です。

また、吉野山から山上ケ岳に至る山々を金峯山と呼びます。吉野金峯山は役行者が修験道独特のご本尊金剛蔵王権現を山上ケ岳で祈り出されたという伝承によって、修験道発祥の地として山伏修行の根本道場となりました。

その修験道は明治初期に徹底的な弾圧を受けます。以後、徐々に復興はしたものの、いまだ宗教史の中で異端のように扱われるのがとても残念です。私は、文明社会が行き詰まりを見せている現代にこそ、自然を畏(おそ)れ敬い、肉体を使って心を整える修験道という宗教の、まさに出番だと考えています。

10年前、吉野大峯を含む「紀伊山地の霊場と参詣(さんけい)道」がユネスコの世界文化遺産に登録されました。これは私が提唱する「修験道ルネサンス」の幕開けだと思っています。

1300年の歴史をもつ修験道が、文明社会になぜいま必要とされるのか。私の半生を語りながら、お伝えしたいと思います。(全20回、構成・古沢範英)

ー朝日新聞奈良総局平成26年11月9日から11月29日まで連載

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コメント

りてんさんは修験道のことを丁寧にわかりやすく教えてくださるので、本当にありがたく思います。嬉しいし、毎日、楽しみに読ませていただきます。
昨日、「体を使って心をおさめる」を注文したところです。楽しみです。
私はお山の修行には行けないけれども、りてんさんのように活動してくださる山伏さんに心から感謝しつつ、大切なことを学び、生かしたいと、切に願う毎日を幸せに思います。
いつも本当にありがとうございます。

女人禁制の意味って何なんだろ。。。。
不浄だから?
私には女の人は無理するなーって事にしか思えないけど。。。。
命がけで登る人もいそうやし。。。
ダイトレ縦走とかも今はあるのにねぇ。。。

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