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「人生あおによし⑮」

「人生あおによし⑮」
 ~田中利典著述集271118

⑮女性と修験道

「修験道は女人禁制なのですね」と問われて驚いたことがあります。大峯山上が今も女人結界の地だからでそう思われているのでしょう。「違いますよ」と答えましたが、大変気になりました。実は誤解を受けているようですが、修験道自体は決して女人禁制ではありません。いや実際には、驚かれるでしょうが、金峯山寺の僧侶資格者の半数は女性なのです。奥駈修行にも女性が参加しています。

ただし山上ケ岳が歴史的に女性を受け入れてこなかったのも事実です。過去に禁制区域を縮小したこともありますし(昭和45年)、また西暦2000年に迎えた役行者1300年大遠忌の折には、修験三本山や大峯山寺の間で、女人禁制撤廃の論議も重ねました。しかし様々な意見の末に結界撤廃は見送りとなり、現在に至っています。

私たちは決して軽々しく結論を出そうとしたわけではありません。50回以上の会議を開いて議論に議論を重ねた上でのことでした。あれだけの準備をしてなお、結果として撤廃に至らなかったのは、やはりご本尊様が「まだその時期ではない」とおっしゃったのだと私は今では考えています。

いずれまた同じ議論がなされる日が来るかもしれません。ただ、山の修行を真摯に考えている人以外の意見は、禁制論議とは別のところでお願いしたいものです。信仰上の問題はあくまで信仰者の手で乗り越えなければいけないのです。

ー本稿は平成27年11月9日から29日まで、朝日 新聞奈良総局の「人生あおによし」で連載されたものを加筆転載致しました。

*************

大峯山の女人禁制については、以前に、『山伏入門―人はなぜ修験に向かうのか? (淡交ムック)』淡交社刊(2006/03)で「女性と修験道」という一文を書いたことがあります。9月にFBや本校でも再アップしていますが、よろしければご参照下さい。
 ↓
http://yosino32.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-2c4d.html

                              
*写真は洞川の女人結界門。

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コメント

女人禁制・・・・。

なんだろう・・・電車の女性専用車両にもちょっとつながるような。。。。

いろいろ問題が起こるからこういう車両も出来る訳で
いろいろ問題が起こるからそうなった歴史もあるのかもしれませんねぇ。。。

私も女性なので男性には困らされた事もあります。
また男性もいろいろ困る事もあるんでしょうね~。

女性が男性と同じ力を持たなかったのはなぜでしょうか?
女性と男性を分けた理由はなぜでしょうか?

いつか分かる時が来るのかなぁ?


いつでも、お山に関わっていらっしゃる皆様への敬意を忘れてはいけませんね…。

この記事へのコメントは終了しました。

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