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「人生あおによし②/山伏への道のり」

「人生あおによし②/山伏への道のり」
 ~田中利典著述集271110

私の父・田中得詮は国鉄の職員でした。趣味だった山修行が高じて祈禱師になりました。成長してから母から聞いた話ですが、私が1歳半の時、ひどい肺炎にかかり、医者にも見放されました。母に「自分の子も祈禱で守れないなんて」と責められた父は、蔵王権現様に「この子が5歳になったら山上にお連れします」と願を掛け、私は奇跡的に助かったそうです。その願の通りに5歳で父に連れられて山上ケ岳に登拝し、以来、毎年欠かしたことはありません。

とはいえ父の跡を継ぐつもりはありませんでした。子どもの頃は「拝み屋さんの子」と呼ばれるのがとても嫌でした。ですが懸命に人のために祈っている父のことは尊敬していました。今にして思えばそれは菩薩行であり、糊口をしのぐ商売とする「拝み屋」とは違うものだったのです。

正直言って山修行は好きではありませんでした。ただ、毎年歩いていると同じ道なのに変わっていることに気づきます。それは自分が変わっているのです。毎年の自分が違うのです。気づきを与えてくれるありがたさが少しずつ分かってきました。足の痛みをこらえていれば快感に変わります。心で心を変えるのは難しいですが、自分を超えた大きな力を感じて歩けば心を整えることができるのです。

ー本稿はちょうど一年前、平成27年11月9日から29日まで、朝日 新聞奈良総局の「人生あおによし」で連載されたものを一部加筆訂正して、転載して連載します。次号に続きます。

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コメント

私は神社参りをするようになってから不治の10万人に1人という病になりました。なんかもう死んでいいよーと呼ばれてる気にもなるけど、注射を打たないと気分が悪くなるのでそれが嫌で注射を打って生きてます。生きるってこわいけど結局は死ぬのに何なのかなーって思ったりします。お金があって楽しめる内は楽しもうと思うけどお寺参りしていたらそのうちいい事もあるかなぁ。。。

りてんさんのお父様…すてきな方ですね。お父様のお願いが通じて、りてんさんがお元気になられて、良かったです(><)

にゃおちゃん、体がしんどいときは気持ちも下がってしまって辛いですよね…どうか、お大事になさってくださいね。
私は、今はお寺参りはなかなかできないですが、りてんさん、比叡山の千日回峰行のお坊さん、侍真さん、吉野山で修行された塩沼あじゃりさんや、たくさんのお坊さん方に力をいただいて、以前は下がり気味だった気持ちが、前向きに、穏やかになりました。にゃおちゃんも、体調が少しでも落ち着いて、気持ちも少しでも楽になりますようにお祈りします…

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