「ともに歩む修行」
「ともに歩む修行」
~田中利典著述集271217
奥駈修行のもうひとつの大きなポイントは、一人ではなく数十人で全行程を歩き抜く醍醐味だと思います。
いちばんのリーダー・大先達や、サブリーダーの奉行をはじめとする熟練者の指導のもと、一人一人が、まさに「行」として決められたとおりに岩場を登り、掛け声をかける、一団となっての経験行なのです。
誰か一人でもペースを乱すようなことがあれば、全体に影響します。しかも、命の危険と隣り合わせの状況下です。それをやり遂げることで、奥駈修行参加者は「一人では生きられないということを痛感した」「みんなのおかげでやり抜くことができた」と、心の底から実感するのです。
なんでも便利になって利己的な個人主義になってしまった現代社会で、このような心の底からの連帯感を感じる経験というのは、希少になってしまっています。だからといって、過酷な状況、たとえば災害とか事件などに巻き込まれてまであえてそれらを体験するなどということは、意味がありません。やはり、修験道だからこそ、修行だからこそいいのです。
ー拙著『体を使って心をおさめる 修験道入門 (集英社新書)』(2014,5刊)より
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*写真は大峯奥駈修行の峯中を行ずる行者たち。
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コメント
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一人では出せない力がでそうですね。絆もできそうです。素晴らしい世界なんでしょうね…。
投稿: 豆しば | 2015年12月17日 (木) 11時11分