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「脳だけが肥大している」ー宇宙飛行士と山伏④

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「脳だけが肥大している」ー宇宙飛行士と山伏④
 ~田中利典著述を振り返る280105

JAXA(宇宙航空研究開発機構)での講演会発議に続く公式サイトでのインタビュー記事の連載中ですが、その4回目。「宇宙飛行士と山伏」という一見ミスマッチな内容ですが、その核心の部分です。JAXA理事の小林智之さんと、話が盛り上がっています。

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小林:自然との共生、ともに生きる、という世界観。次の質問につながるのですが、宇宙開発、名前そのものが開発、ある意味征服していくプロセスなのですよね。今、日本の宇宙開発というのは、昭和44年、1969年に政府が宇宙開発事業団という組織を創りました。

そのきっかけは、実は日本も地球の静止軌道上に日本の衛星を打上げたい。そのために、アメリカに学んで、いずれ、日本人固有のアイデアなりで宇宙開発を進めていこう。実は、これは日本国有鉄道の、新幹線を作った、島秀雄初代理事長の発言です。ロシア、欧州、米国に日本は追いつけ、追い越せでやってきた。やっと肩を並べたかとどうか、まだ何ともいえません。

ただ、国際宇宙ステーションというのは、協力してできるところまではきました。その先。どう進めていくべきか。これで私は、この前田中先生の話を伺って、日本の宇宙開発というものの在りようなり、考え方というのは、例えば、自然との共生という視点から言ったときに、我々宇宙開発をやっている人間は、それをどう受け止めたらいいのか。

このあたり、なかなか考えが思い浮かばないというところがありまして、今のお話の流れの中で、田中利典先生が、例えば宇宙開発を進めるひとつのきっかけを見出すとすれば、どのような視点からお考えになるかということを伺えさせていただければと思います。

田中:それは大変難しい設問で、そう簡単には答えられないことだと思います。まして具体的なことはわかりませんが、我々の場合で言うと、私たちは山を征服するために修行しているわけではない。どうやって山を歩いているのかというと、歩くのではなく、歩かせていただくというスタンスがある。

その体でいくと、宇宙に出て行って、宇宙を活用するのではなくて、私たちがともに生きる場所として宇宙を考えていく、そういうものでないといけないのではないでしょうか。もっと言うと、宇宙開発の根源的な部分をもう1回問い直さなければいけない、ということでしょう。このインタビューの設問にあるのですけど、この間の大阪での講演をして何をお感じになりましたか?と聞かれています。あれは私にとって、私の話した内容が参加者の方々にものすごく受けたことが大変驚くべきことでした。

まあ、講演中はそれほど受けているようには思えなかったのですが、後の懇親会で多くの先生方が大変気に入ってくださったようで、いろんなお話で盛り上がりました。だって、ある先生からは、私をして、宇宙に行かされそうになったほどですから。(笑)

小林:宇宙飛行士にも関わる話で、人間の限界、精神を鍛える限界というのは、今の修験道ではいろいろなコース、プログラムがあると思いますが、そういったものの限界というのはどのようにお考えでしょうか。

田中:私は、肉体の限界と精神の限界というのは関連していると思っています。近代合理主義の悪いところは、精神論のみ、なのですよね。肉体を持っていないのです。

ところが、実際は人間は肉体を持って生きている。ですから、肉体を鍛えることが精神を鍛えることにもなる。精神だけを鍛えるとなると、これはなかなか難しい。スポーツでも何でも結構精神主義なところがありますが、精神と肉体と両方鍛えていない本当の力が出ない。逆に言うと、精神を鍛えるのも、肉体を持って存在しているという部分を蔑ろにして精神だけは鍛えられない。

だから、山の修行にしても、ある程度のところまでは、誰でもいけるのですが、それ以上のことになると、それに伴うような肉体を持っていないといけない。単なる精神論だけでは済まないと思いますね。

小林:脳は五感を持って、嗅覚、聴覚、視覚、触覚、味覚、というセンサーで、これ唯脳論の典型かもしれませんが、世界を知る。自然を知るときも、その人間の皮膚感覚など全てを用いて受け止めるわけですが、その感覚の何かが健全にバランスが欠けている。

田中:脳だけが肥大しているわけです・・・。

~JAXA(宇航空研究開発機構)宇宙ことづくりプログラムインタビュー(2008年2月)より(インタビュワー:JAXA小林智之)

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