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「大震災」ー田中利典著述集290311

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「大震災」ー田中利典著述集290311

金峯山寺の機関誌「金峯山時報」のエッセイ覧「蔵王清風」で書いた駄文を折に触れて転記しているが、今日は6年前の文章。

今日は東日本大震災の日。あれから6年である。

今年は恩師淺田和上のご自坊大改修落慶法要に随喜させていただいたので、あの「14時46分」は堺の地からのお祈りになった。ちょうど法要を終えて、控え室での着替えの最中にその時間が来た。遠く東北の被災地に思いを込めてお祈りをしたのであった。

6年を経ても、被災地の復興はまだまだなのだと思うと、せめてお祈りだけは継続させていただければと思う次第です。

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「大震災」

三月十一日に東日本を襲った大震災以来、はや四ヶ月を迎える。金峯山寺では義援金の供出のほか、二度にわたって現地への見舞い巡回活動を行ったが、実は私自身はまだ被災地に行けないでいる。ただお祈りを続けているのみである。

お祈りは大震災の翌日から行っている。折しも私自身が長く関わった全日本仏教青年会からの提案で、震災の起きた午後二時四十六分に、地震封じ・被災地救済・被災物故者追悼のため、全国の寺院で同時刻にお祈りを行うという運動も始まり、金峯山寺でも朝夕の勤行や長日護摩での祈願とともに、二時四十六分のお祈りをはじめることとなった。蔵王堂では同時刻になると、梵鐘が鳴り響く。

私も同時刻のお祈りを毎日行っている。本山にいるときは蔵王堂の御宝前で、外に出ていてもその時間にはどこにいても必ず般若心経一巻を被災地のためにお唱えしている。東京の大手町の地下鉄入口や、母の見舞いの病院、自坊、高速道路のPA、会議中を抜け出して…など、今までいろんな場所で行った。奥駈中、ちょうどその時刻が弥山への胸突き八丁登拝の最中だったので、行者一同で東北に向かい般若心経をお唱えしたりもした。時刻が時刻なだけに、なかなか難しいのだが、私の携帯電話は十五分前と、二分前にアラームを設定していて時刻を知らせてくれるので、ほとんど忘れたことがない。

そんな風にいろんな場所でお祈りをしているが、一番落ち着くのは蔵王堂でのお勤めである。あの時刻のお祈りは、目を閉じると、テレビなどで何度も見せられた大津波に街が飲み込まれる映像がフラッシュバックで甦り、心が乱れてならない。しかし蔵王堂でのお勤めの時だけは、大きな力で守られているような気持ちが生まれ、心の乱れは起きないのである。天地の揺らぎを鎮め、天魔の障りを打ち砕く蔵王権現様のご威力に包まれているからに違いない。

普段私たちは願主の願いに応じて、家内安全や身体健康、当病平癒、商売繁盛などなどたくさんのご祈願を行じている。いわゆる祈願専職の僧侶だが、まさに国難ともいえるこんなときに、国土の平穏と人々の救済を祈らなくて、いつ祈るというのか。大地の揺らぎと、これ以上の被害の拡大を防ぐこと、そして災害によって奪われた多くの方々の慰霊をご本尊に祈ることこそが、まず私が出来る働きだと思って、日々祈りを行じさせていただいている。是非、この祈りが更に大きく広がることを念じてやまない。

ー「金峯山時報平成23年7月号所収、蔵王清風」より

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写真は大震災の丸1年後に、被災地各地を見舞って撮らせて頂いたもので、南三陸です。

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