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「青の吉野山、青の蔵王権現」ー田中利典著述集290501

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「青の吉野山、青の蔵王権現」ー田中利典著述集290501

過去にどこかで掲載した拙文を折に触れて拙文を本稿で転記しています。

今日から5月。いよいよ新緑が美しく輝く季節です。今日はこの時期、なんども紹介していますが、4年前のフリーペーパー誌「やまとびと」に認めましたものです。青の吉野山、青の蔵王権現・・・ゴールデンウィークに出かけるなら吉野山ですよ。存分にお楽しみいただければと思います。ご開帳は5月7日まで。

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「青の吉野山、青の蔵王権現」

吉野といえば日本一の桜の名勝。 「一度は行ってみたいものです…」などと言われる。もちろん桜花爛漫の吉野山の絶景は素晴らしい。

しかし、桜が散って新緑の時期を迎え、心地よい五月の風が渡る吉野山が、私は一年中で一番好きである。

新緑なのだから、正確には「緑」なのだが、私にとってはこの時期の吉野山のイメージは青、である。朝靄の中、あるいは暮れなずむの夕闇のひととき、一瞬、新緑の全山が薄青色に染まり、修験の聖地にふさわしい佇まいを見せてくれるのだ。

第一、桜の時期と違って、山には人の姿がまばらである。桜の頃の喧噪がまるで夢・幻だったかのごとく、しーんと静まりかえる町並みには、俗世から抜け出たような清らかな時間が流れている。

今年のこの五月、吉野山のシンボル金峯山寺蔵王堂で、秘仏本尊金剛蔵王権現の特別ご開帳が行われている(*)。

蔵王堂の秘仏本尊はお肌の色が普通ではない。鮮やかな青黒色である。何年か前に放送されたNHK仏像ベスト10で、「色の鮮やかな仏第1位」にも選ばれたことがあるほど、その鮮やかな青黒色は、拝む人の心を奪ってはなさない。青の吉野山と、青の蔵王権現…。まさに新緑の季節にこそ、ベストマッチな風景と言えるであろう。

加えて、蔵王権現の青は、ただの青ではない。深い意味がある。「青黒は慈悲を表す」と仏典に記されるとおり、お肌の色に、仏の慈悲が示されている。

お参りされた方はご存じだと思うが、蔵王権現は怒髪天をつくばかりの、忿怒の形相をなさっている。それは悪魔降伏の姿なのだが、ただし、単に怖いというだけではなく、仏の慈悲で人々を救い導く、大きな願いを持った怒りの現れなのだ。内なる悪魔を封じ、外なる悪魔を破る力、とも言えようか。

親が子を叱る。叱って導く。その怒りは常に深い親の愛、親の心を奥に秘めているが、そういう親の情愛のような、慈悲の怒りを青黒は表している。

新緑から深緑へと移ろい行く季節の中で、一度、青い吉野に訪れてみてはどうだろう。青の慈悲に癒やされ、心が清らかになること、請け合いである。

ー2013年5月発行「やまとびと5月号」所収

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*写真は今年のご開帳のポスターです。

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