『聖の社会学』(イースト新書)読破!
『聖の社会学』(イースト新書)読破!
勝桂子さんの著書『聖の社会学』が手元に来て、9日がかりでようやく読み終えました。
いいわけなのですが、私はすんごい遅読です。それは読むのが遅い、というより、読みかけのままで、次々に新しい本を手にしてを読み出すという癖があり、つねに20冊くらいは併読をしています。それで、ついつい、1冊を読み終えるのに、時間を要してしまうのです。勝さんの本も、ものすごく読むほどに面白いと思いながら、9日も掛かってしまいました。
で、先にお詫びをしなくてはいけないです。
この「聖の社会学」を読み始めての感想をFBにアップしましたが、はしがきのところだけを読んで、インサイダー、アウトサイダーという違和感について綴りました。これは大きな間違いだと読み終えて、思っています。
最初に論評したFBでは、ひろさちやさんの評論無責任主義をアウトサイダーという、過去に行ったシンポジュウムでの批評を加えて、ひろさんのスタンスになぞらえている部分がありましたが、大きな誤りでした。ようは内外関係なく、いまの日本人の宗教事情についての。勝さんの憂いと提言が本書には満ちていることに気づきました。はしがきの印象だけで書いてしまったことをお詫びします。
本の中でも書いておられますが、内と外の間で、僧侶と一般の方の通訳をなさっているようなお立場に終始した著述でした。
それゆえに、読み進むなかで、「そうそう、そうなんだよ、その通りその通り」と思うことがたくさんありました。
とはいえ、「え・・・」とか、「うーん」とか「これは違うなあ」と思うこともありましたが、それと同じくらい、「凄いなあ」と思うことがたくさんあって、かなりジェットコースターにのっているような気持ちで読んだのでした。(笑)
山折哲雄先生や小川英爾和尚や高橋卓志さん、井之上昭代さん、はたまた加藤悦子さんなど、本書に出てくる人間関係は私と重なり合うことも多く、出会うべくして出会った本だったと思いました。
昭和10年代から団塊の世代にかけての、敗戦の災禍がもたらしたあの時代人の精神文化の退廃も含めて、いまの「墓じまい」「寺院消滅」を推し進める流れは、もう何年も前から私もいろんな講演会などで警鐘を鳴らしてきていたので、本書の意図はよーくよくわかります。・・・ま、寺院消滅は言い過ぎで、淘汰されるだけでなくなりはしないでしょうし、たくさんの立派なお坊さんが黙っていませんから改革されて、消滅せずに見事に生き残るお寺はたくさんあるはずです。
もしかすると、それより心配なのは宗派消滅なのではないかと私は思っています。
ともかく大いに賛同することばかりでした。そりゃあ、いまの現状をみれば誰だってそうおもいますよね。
私のことをいうと、多くの方がご存じのとおり、奈良県吉野の総本山金峯山寺を中心とする修験教団「金峯山修験本宗」で45歳から60歳まで、あしかけ15年間は宗務総長という教団の重職を務めました。その間たくさんの教団改革を試みました。もともとうちはお檀家を抱える檀那寺が末寺には少なく、いわゆる祈祷寺や個人で活動をする行者さんの修験教団なのですが、それでも戦後の歩みの中で、いろいろ硬直化していることも多く、幸い若くして管長様から宗務総長を任じられたおかげで思い切りチャレンジ出来ました。60や70になってから教団のトップをやっても、なんにもしませんからねえ。
そういう身の上故に、なお、あえて言うなら、この本に書かれている内容を僧侶自身、宗門自身が声高に言わない現実を、ときには腹立たしく、ときには憂いを感じながら、読み終えたのが正直な気持ちです。
是非、なにはさておき、前線で活躍するお坊様方に読んでいただきたいと思いました。
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