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清風中高校長平岡宏一先生登場!YouTube/「りてんさんの知人友人探訪 第20回」

チベット密教研究者にして、清風中高校長平岡宏一先生登場!
YouTube/「りてんさんの知人友人探訪 第20回」

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今朝、アップされた8月25日放送分の漢方医桜井竜生先生の回に続いて、先月の9月22日放送分、チベット密教研究者にして、清風中・高校長をつとめられている平岡宏一先生の回もアップされました。

平岡先生は、私も幹事として関わっている「宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会」(略称:スーパーサンガ)の集まりで知り合いになり、その後はいろいろ親しくしていただいています。先生同様に私も種智院大学の客員教授もつとめていますが、先生にはダライラマ法王様のお話や、学校長としての現代教育論について、興味深いお話の数々をじっくりとお聞きしました。本コーナーの記念すべき20回を飾るのにふさわしい、面白いお話でした。

是非、お聞き下さい。

○りてんさんの知人友人探訪 第20回 チベット仏教研究者平岡宏一先生
 → https://youtu.be/-X3AS7scO3M

*聞いていただいた方、よろしければご感想もコメント下れば幸甚です。

ちなみに、スーパーサンガの川端事務局長がこの対談を興味深く聞いていただき、文字起こしをして、スーパーサンガにみなさんにご紹介いただいております。以下、その文字起こし校正分を紹介します。YouTubeをお聞きいただければ、同じことなのですが(^_^;)

文章もわかりやすくて、いいですよ。ちょっとだけ、直しが入ってますけど。

*****************

「りてんさんの知人友人探訪」
対談者
清風高校校長
スーパーサンガ特別顧問
平岡宏一さん
田中利典さん

田中:みなさんこんにちは。ここからは「りてんさんの知人友人探訪」をお届けします。
今日のゲストは密教研究者で大阪の清風中学・高校の学校長でもあります平岡宏一先生をお迎えいたしました。先生、よろしくお願いいたします。

平岡:よろしくお願いいたします。

田中:先生と私は「スーパーサンガ」というチベットを支援する会で知り合ったご縁なのですけれども、このお話は後で少しさせていただこうと思います。まず初めに、先生の略歴を教えていただければと思います。

平岡:ありがとうございます。
 私は1961年生まれ、大阪出身です。高野山大学大学院を出た後、インド南部にあるカルナタカ州フンスルにチベット人が亡命しておりまして、そこにギュメというお寺があり、そこへ留学いたしました。
 高野山真言宗の僧侶でもあります。現在、清風中学校高等学校の校長をしています。
 田中先生と同じように、私も種智院大学の客員教授をさせていただいていています。
 私の留学していた関係で、お寺が密教のお寺でしたので、ダライ・ラマ法王の通訳を9回ぐらいさせていただきました。
 昨年は、私たちの学校に法王様をお迎えして4日間説法会をしてもらいました。
 あとは、アピールさせていただかなければいけないのは、今年の末に『秘密集会概論』という本を法蔵館から出す予定ですので、それはちょっと言っておかなければいけない。よろしくお願いします(笑)。それだけです、ありがとうございます。

田中:スーパーサンガという団体のお話を最初にしたのですけれども、これはチベットが様々な問題を抱える中、日本のお坊さんがこの問題を黙示していいのだろうかと義憤に駆られるところから、「宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会」・・・あまり長いので、略して「スーパーサンガ」と呼んでいるのですけど、法王が提唱される非暴力と対話による解決を支持し、慈悲の精神をもって問題の平和的な解決に取り組む。私たち日本人僧侶もここに宗派を超えて結集して、チベットにおける真の平和と自由を実現することを強く求めていこうという団体で、先生は今顧問をしていただいています。私は幹事の一人です。
 先生は法王と大変近しいご関係にもあられますね。

平岡:近しいわけでもないんですけど、はい。

田中:先ほど通訳も9回ほどなさったということですが、まずチベット密教との出合いというのはどういうきっかけで?

平岡:それは、当初は私たちの学校は種智院大学と関係が深くて、真言宗でしたので。それで、そこへ行って、そこへついた先生が北村泰道という先生で、ご専門がチベットの密教もご専門でいらして、日本の密教も詳しかったんですけども。で、その方についてインドにあるギュメというお寺に調査団として入ったのが、チベット密教との最初の関わりですね。

田中:そんな中で法王とも…。

平岡:法王様とはですね、留学中は2回ぐらいお会いしたかな。お会いする回数が増えたのは、やっぱり通訳をさせていただいたり、そういうことで回数が増えた感じです。

田中:通訳と言っても、日本語とチベット語の通訳をできるのと、チベット密教を通訳するのとでは、また違いますよね。

平岡:そうですね、若干違いますね。

田中:そういう意味ではチベット密教の学識がないと、なかなか法王様のおっしゃっているところの…。

平岡:まあ、そうですね。だけどもっと言うと、法王様の専門外のお話は、僕は訳せないのですね(笑)。だからお説教会の途中で専門外の話をいっぱいされたりするので、すごく困ったりするんです(笑)。そんなことであります。

田中:私は法王様とは3回ぐらいしかお会いしていないんですけど、お茶目な方ですよね。

平岡:そうですね。とても気さくな方です。

田中:チベット密教とは、いったいどんなものかという話になるんですが、2500年前にお釈迦様がインドで仏教を始められたというか、開かれて、それが日本の場合は北伝して、中国、韓国を経て日本に伝わってきた。だいたい大乗仏教系の仏教が入ってきた。それが日本の中で、6世紀に伝わってから今まで、さまざまな形で発展してきた。これを「日本仏教」とたぶん言うだろうと思うんですが、チベット仏教というのは、そういう意味ではどういう風に理解すればいいですか。

平岡:歴史的なことで言いますと、おっしゃったように、おそらく7世紀ぐらいになると思うんですけど、インドから直接入った感じです。
 しかしながら、日本もちょうど聖徳太子が観音様の化身という、救世観音になぞらえるように、聖徳太子は観音様の化身という信仰がありますけど、この観音様の化身とされる聖徳太子が日本に大乗仏教を根付かせたように、チベットもソンツェンガンポ王と言って、これは観音様の化身と言われる人ですけど、この人が、日本から遅れての話でありますが、チベットに仏教を根付かせた形です。
  法王様が奈良に来られた時に、冒頭のスピーチでとても私は印象的だったんですが、こういう風におっしゃいました。「日本人とチベット人とは同じ先生(釈尊)の同窓である」と。「日本の方が先輩で、私たちは後輩である」と。
  こういうお話を奈良に来られた時にされまして、ちょっと印象的でした。

田中:東大寺さんへ2回ぐらいおいでになっていましたね。

平岡:そうです。そのお話は東大寺というか、奈良の、場所は忘れましたが、講演をなさった時のお話です。

田中:そうですか。先生は法王様とも近いし、チベット密教もずっとおやりになっているわけですけど、日本の仏教とチベット仏教の魅力の違いはあるんですか。

平岡:まず、法王様は、僕も50回ぐらい会っているんですけど、あまり親しいとかはないんです。いつも一緒。忘れるということはないですよ、さすがに何回も会っていますから。パーンと頭や肩をたたかれることはあります。でも、どの人にも同じような感じです。ですから、みんな「自分は特別だ」みたいな感じを持っちゃうんです。どの人にも同じように接触(をされますから)。

田中:なんかそういう(自分は特別だみたいな)ことを言う人は僕の周りにもいっぱいおられますね。それはそういうことなんですね。法王様がそういう風に…。
 
平岡:そういう風に接触をされるんです。それは悪いことではないんです。
  どなたにもとても親切です。そういう風に心がけていらっしゃると思うんですけど。
 ただ、チベット密教の魅力はそのまま、ダライ・ラマ14世の魅力かなと思ってしまっています。

田中:「法は人によって起こる」と言いますけど、やはり魅力のある宗祖と言うか、王様と言うか、教えを説く人がいて、その教えがその時代に生きているところがありますものね。

平岡:そうですね。ダライ・ラマというと、中国もそういう話ばっかりしてしまうので、政治家みたいなイメージがありますけど、どちらかというと、チベット人が、その7世紀から始まった仏教でやってきた、ちょうどシーラカンスが深海の中で残ったみたいに、ヒマラヤの山に囲まれてお釈迦様の時代の仏教の息吹がそのまま残ったような感じで。それが、その文明の粋を結集して小さい時から教育して作った人みたいな、私は印象があります。
 ですから、先ほども言いましたが、政治家のような印象を持っている人は多いですけど、例えば日本各地どこへ行かれても、一日二食で、午前2時に起きられて、一日4時間の瞑想をされてから、どこへ行っても、講演であろうがイベントであろうが、朝1日4時間の瞑想をされてから必ず入られるという、そういう生活をされています。寝る時間はけっこう早くて、晩御飯は食べないで、早かったら6時ぐらいに寝ちゃったり、遅くても8時には寝ちゃったりするんです。毎日、世界中どこへ行っても、2時から起きてという、そういう生活です。

田中:でも、法王様は激務ですよね。世界中を飛んで回っておられますものね。日本にも毎年のように来られて、今年もまたおいでになりますね。

平岡:そうなんです。法王様は、よくおっしゃるんですけど、「ヨーロッパとかアメリカですごく受け入れられていて、それは嬉しいことでありがたいことである。しかしながら、私はもともと大乗仏教のお坊さんだ。したがって、自分が真意を発揮できるのは観音様や大日如来やお地蔵様が最初からいらっしゃる国である。だけど、なにもそこにある密教とか仏教を捨ててチベット密教になれとか、そんな大それたことは全然考えていない。ただ、自分が、日本の仏教がさらに盛んになる、多少失礼な言い方をしたら、仏教ルネッサンスになるような、そういう活動に自分は力を注ぎたい」。そうしょっちゅうおっしゃっています。
 ですから、他の国に行くよりも、日本に来ることは特別なのです。政治家に日本でたくさん会うわけでもないし、言うことでもないけれど、日本に来ることにすごくこだわっていらっしゃるのは、そういうことだと思います。

田中:そうなんですか。毎年、お出ましいただいていまして、去年は清風高校さんで4日間。また灌頂があったり、いろんな法も授けておられます。日本はファンも多いから、そういうこともあるのかなと思ってはいたんですが、法王様自体がそういう風なお考えがおありになるわけですね。

平岡:そうですね。以前、こんなことがありました。
 私がギュメに行った時に、今のギュメの管長様にチベットの質問をしていて、その時に管長様に、僕はちょっと多少かじった唯識の話をしたんです。そしたら、管長猊下がすごく喜ばれて、「おまえがそうやって、日本人なのに唯識なんか勉強をしてくれてとっても嬉しい。やがて僕たちは生きなくなるからな」と言われたんです。それはどういうことかというと、チベット人はやがていなくなってしまうかもしれないから、ということですね。
 法王様もそういう風に思っていて、やがてチベット人はいなくなるかもしれない。だから、チベット人を守っていくことも、もちろん彼にとって大きな役割ですが、それ以上に、自分らが伝えたてきた北伝の、日本にも伝わっていないような仏教がありますよね、密教。その仏教に対しての責任感をすごく持っていらっしゃって、それをちゃんと人類に残していくということに対して使命感をすごくお持ちなんです。

田中:私は13年前に、ちょうどラサに鉄道がつく1週間前ぐらいにチベットへ入らせていただいて、いろんな所を回らせていただいたんですけど、その当時から中国色がチベットに広がっていて、鉄道が通ったらもっとどんどん中国の人が入っていって、チベット人の国であるのにチベットの人たちの住む場所が失われるのを心配していたんです。実際、あの後も150人ぐらいのチベットのお坊さんが抗議の焼身自殺をなさっている現実もあります。本当に、これは他人ごとではなくて、自分たちの問題という気がするんです。

平岡:日本のお坊様たちが、そういう問題意識で立ち上がってチベット人を応援しようと思ってくださっていることはとてもありがたいことです。ダライ・ラマ法王様も感謝されていますし、他所の国のことだと考えても全然OKなわけですけど、同じ大乗仏教として宗派を超えて、皆さんでチベット人の力になってやろうじゃないかと考えてくださっていることは、とても尊いことだなと思っています。

田中:なかなか具体的な活動というのは形になっていかないところはありますが、でも、声を上げることだけでもやっていかないといけない、という思いはあります。
 (ところで)先生は密教の研究者でもおありになりますけれど、清風中学高等学校の校長先生ということですね。私の息子はまだ中学生がひとりいるので、中学校の校長先生というと親しい感じがするのですが、我々の時代と今とでは社会も違いますし世の中も違うので、子どもの事情というものもずいぶん違うと思うのですが。

平岡:そうですね。今の時代の子どもはとても難しいですよね。
 生徒にもよく言うんですけど、例えば、利典さんや僕が中学生であったころには、とっても僕らの中には興味があっても届かなかったような猥褻な情報やバイオレンスな情報が、親のフィルターを通じることなく直接子どもに届く時代です。なおかつそれはアクセスすればするほどお金になるような情報で、子どもはそういうことをよくわかっていなくて、そういう情報にさらされながら自分をきっちり律していくことがとても大切な時代です。そういう意味で、難しい時代だなと。

田中:情報量が多すぎますものね。
 情報はたくさんあってもいいんですが、要は情報をどう処理するかという、こちら側の(内面の)問題が一番大事で、これがしっかりしていないと、こっち側が破綻してしまいます。
 それが今の子どもたちは、まだこっち側ができる前にたくさんの情報にさらされるという、そういう危うい時代に彼らは生きているということですね。

平岡:それと、これもよく言うんですけど、情報化社会というのは、かつては情報が少なかったので、「あの人はどんな人?」と言ったら、「あの人は東京大学出て官庁へ勤めてハーバード大学を勤めた」、これはある女の代議士の話ですけどね、昔であればそれでね。
 で、秘書に怒られたと言うと、「それは秘書がとっても態度が悪かったんでしょう」みたいな話で終わった。今は、「このバカー」とか言って、その人の情報がいっぱい出てしまいますよね。
 情報化社会というのは、かつては情報が少なかったから、「あの人は〇〇大学を出ている」ということが一番大切で、あとの情報は無かったですから、それぐらいしか目安がなかった。だから勉強もある意味、全部切り捨てても、ともかくいい大学に入ることが大切だった。本当はよくないんですけど、そういう時代があったと思うんです。
 だけど、今は情報化社会で、いい大学を出ていても、その人の人となりというものが社会的に活躍すればするほど、赤裸々に表れる時代です。

田中:本当にヤバイ時代ですよね。

平岡:ヤバイです。逆に言うと、人となりが表れれば表れるほど、「これは間違いない人だな」と思われるような人に育てていかないといけない。ですから教育も学力だけではなくて、総合的な人間力を求められる、そういう時代になっているなと僕は思っています。

田中:それはもしかしたらいいことの部分もあると思うんですが、現実問題、子どもたちが気の毒な部分も、往々にして多いですよね。

平岡:そうですね。気の毒というか…、そうですね。だけど、僕は、情報がすごくたくさんあるということに関しては気の毒だと思います。それに振り回されるから。だから昔よりもひどいことになると思うんですよ。そんなものに引っ張られるから。
 だけど同時に教育も、ともかく勉強さえしておけということではなくて、総合的な人間力を求められる時代になって、学校もそういうことで教育していかないといけないなということを意識しだしている時代なんです。そういう意味で、教育の方向性はまともになってきているのではないかと、僕は思っています。

田中:いや、でも宿題は多すぎると思います。

平岡:宿題は多いかもしれませんね。それはしかたありませんね。

田中:僕らがこどものころ、こんなに宿題があったかなと思うほど持って帰っていますよ。

平岡:ああ、そうですか。うちも宿題が多いと言われていますから(笑)。

田中:ゆとり教育の反動で、最近やたら宿題が増えたような気がするんです。うちは(4人こどもがいて)30歳が一番上で、13歳が一番下なんです。17年ぐらい空いているんですが、17年ぐらいで、日本の教育もだいぶ迷走してて、文部省の方向性もダッチロール状態だと感じます。

平岡:そうですね。一時ゆとり教育と言って学力が下がりすぎたので、もう1回揺り戻しみたいなことがありますけど、でも今も言いましたように、学力も大切ですけど、総合的な人間力が求められていると思っています。ベネッセの調査だと思うんですけど、小学校4年生から6年生の保護者に聞いたら、「ともかくいい大学に入ってほしい」と答えたのが60%ぐらいなんですけど、95.5%の保護者が「社会で通用する力がついていなかったら意味がない」と答えています。ですから、親の意識自体も変わってきているのではないかと思います。

田中:右肩上がりで高度経済成長があって、いい学歴をもっていい会社に勤めれば人生安泰のような時代もちょっと前までありましたけど、バブルがはじけて以降、そういうバラ色の未来は見にくい時代に入っているところがあるじゃないですか。

平岡:うーん、そうですね、たしかに。大変やと思いますけどね、これから。

田中:今の子どもたちって、生まれた時から物もあるしね、全部。物をもらっての喜びとか、幸せ感というのは、僕らとはまったく違う形じゃないですか。そんな中で生き甲斐とか、これからの人生の夢とか、持ちにくいっちゃ、持ちにくいんじゃないですかね。

平岡:うーん…。これもね、ダライ・ラマ法王の話の受け売りですけど、法王様がよく言っています。20世紀は科学が神のように思って、物質社会で、物質的に満たされることが幸せだと思って、それを追求した。けれど20世紀も終わって、物資的にはけっこういいところまできて、物質的には幸せになった。でも、あんまり幸せじゃないなということに気づいて、内面の幸せを求めるようなベクトルになった。それがこの時代ではないか、と。

田中:そのとおりだと思います。

平岡:そういう意味で、子どもたちも物質的には恵まれたけど、自分の心の問題をどういう風に考えていくかとか、そういうことに保護者も、僕は生徒たちもそういう風に思うんですけど、そういうことに関心が向きだしている時代と思います。
 そういう意味では、宗教家が活躍しないといけないんです。

田中:まさにそのとおりで、「心の時代」と言われて久しいし、宗教の時代ですね。宗教が世の中を動かしてきた時代とは、実は世の東西を問わず長く続いて、ここしばらく少し宗教クライシスの時代もありましたけど、いろんな意味でもう一度、宗教が人間の生きる中でどう役目を果たしていくか。それが問われている時代で、それはまさに宗教者が問われていることでもあると思うんです。

平岡:そういうことだと思います。ですから、宗教者もがんばらなければいけない。ニーズは絶対に高まっているはずですから。

田中:そういう意味では法王様に毎年来ていただいて、チベット密教の立場から法を説いていただくと…。

平岡:法を説くというか「日本の仏教がんばれ」みたいなね。本当にそうです。僕が帰りかけていた時に呼び止めて、僕にもう1回言いました。「自分の役割は日本の仏教ががんばってもらうことを応援することだ」と。「般若心経をあげても、般若心経って何かなんてちょっと考えてもらったり、そういうことのきっかけを私はつくりたいんだ。もともと日本の仏様とか神様とか宗派があるんだから、それを大切にすることが大切だ」と。これは盛んにおっしゃいます。

田中:何ができるかというと、自分のことに敷延するとなかなか難しいところもありますが、それぞれがそれぞれの立場でやっていくべきで、いかなければいけないし、(でなければ)坊主になった意味がないですからね。

平岡:そうですね。ちょっと生意気なことを言いますけど、他の宗教、仏教以外の宗教というのは、いかに帰依するかということがポイントで、帰依が強ければ強いほど神様に近づけるみたいなね、神からの祝福が…。

田中:基本、(一神教は)契約の宗教ですからね。

平岡:仏教というのは、帰依と同時に自分の心をアップデートしていかないと、仏さんにならないといけないわけですからね。

田中:自覚の宗教ですからね。

平岡:自覚の宗教ですから帰依と同時に自分の心をどうやってアップデートしていくかということがテーマの宗教ですね。そういう意味で、現代的だと思うんです。

田中:法王のお話、チベット密教のお話、教育のお話をお聞きしましたけど、最後にまとめとして何か、先生。

平岡:まとめですか…。いろいろ言うけれど、悪い時代ではないと思っているんです。
 本物が求められている時代で、情報化社会は本物が求められている時代だから、本物にならないといけないと思うんです。本物の教育をしなければいけないし、みんなも本物にならないといけないし、そういう意味でがんばらなければいけない時代だけれど、逆に言うと、本物になる方向で努力していれば、それが成功するまでがんばらなければいけませんが、結構ちゃんと評価される時代かなという風に思っています。

田中:拝金主義というか、物資第一主義が長く続きましたけれど、ようやく終焉を迎えつつあるなかで、本当に自分の心にかえっていく、自覚にかえっていくということが、これからは大切ですね。

平岡:そうですね、金持ちになっただけで物質的に満たされただけでは幸せになれないということは、もう十分にわかって、もう1回自分の内面を見つめなおすような、金持ちでも自殺するような人はたくさんいるわけですからね。

田中:お金があるから自殺する人もいますしね。

平岡:そうですね、かえってですね。金がなかったらいいというわけではないんですが、そういう意味で自分の内面をどういう風に向き合っていくかということに関心が出てきている時代だと思います。
 この間、お医者様の団体がダライ・ラマ法王を迎えるということになって、熊本でお医者様の団体と話をしたんですけど、ダライ・ラマ法王に聞きたいことは「死んだらどうなるか」ということでした。お医者様の団体が、「死んだらどうなるか」に一番興味があるというわけですよ。だからやっぱり、ちょっと内面のことをもう1回考えるような時代に入っているんじゃないでしょうか。

田中:わかりました。先生は先生のお立場で、私は私の立場で、それぞれがんばらせていただくことができればなと思います。今日はお忙しい中、ありがとうございました。

平岡:ありがとうございました。

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