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「神仏霊場会に寄せて」を書いた

ずいぶん前に、コラムを書いてくれといわれて書かされた文章が掲載された神仏霊場会の公式ガイドブック「神と仏の道をだどる」(産経新聞社発売)がようやく手元に届いた。

その文章を以下、紹介する。

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「神仏霊場会に寄せて」
  神仏霊場会教学委員長 金峯山寺長臈 田中利典

私の属する修験道は、譬えていうなら、外来から伝来した仏教を父に、日本古来の信仰である神道を母に、その仲の良い夫婦の間に生まれた子供のような存在である。極めて日本的な神仏混淆の宗教なのである。

不幸にして明治維新期、国の近代化のもとに施行された神仏分離政策によって、仏教伝来以来1300年余り続いた神仏混淆の風土は大きく損なわれ、蜜月関係にあった仏と神は分離させられた。そしてその子たる修験道は禁止となる時代を経験したのである。

ところで、これはなにも修験道自体の損失ではなく、神仏混淆を旨として育まれてきた日本の宗教風土、精神世界の改変であったといえる。日本版文化大革命とさえ思える大変革の施策だったのだ。

爾来150年…。日本は近代的欧米主義を享受し、物質文明社会の高度な発展を手に入れた。しかしながら物の豊かさを手にすれば手にするほど、精神的な豊かさを失いつつあるのが現代社会と言っていいだろう。日本人の心の貧困が問題となる様相である。

そんな時代を思うとき、もう一度戻るべきところがあるとするなら、神仏混淆の、多様で平和な共存し合う精神風土ではないだろうか。神仏霊場会の存在がその一条の光になればと願うものである。

私は本会の発足以前から活動に関わらせて頂いたが、本会の今後の発展が日本の明るい未来に寄与することを念じてやまない。合掌。

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B2_ 

 

 

神仏霊場会は昨年で発足10周年を迎えた。私は発足以前の準備段階から幹事委員として関わってきたが、今期で役職を終えた。いろいろあった10年だが、10年を節目に、新規2社寺の加盟、ガイドブックの新編集や、朱印帳のリニューアルなど、大きく変更があった。

もう私の手から離れた本会であるが、文章にも書いた通り、この国の光となるような、さらなる発展を念じるものである。

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